2019年11月世界循環経済フォーラム2019について追記【サーキュラーエコノミー(Circular Economy)ってなに?】カーシェアやオフィスシェアなどのシェアリングも、リデュース・リユース・リサイクル(3R)も、フードロス削減もサステナブルな循環経済活動!?欧州が採択したサーキュラーエコノミーパッケージとは?など、サーキュラーエコノミーについて分かりやすくまとめました!
ここ数年で、ニュースメディア上で度々使われるようになった用語「サーキュラーエコノミー」(Circular Economy 略して“CE”)。
サーキュラーエコノミーは、日本語で「循環経済」もしくは「循環型経済」と訳され、これからの世界における経済活動の主流となるべく、企業単位のみならず国・政府によって推進されている、世界レベルでの経済成長戦略のひとつです。
SDGs(持続可能な開発目標)と関連づけられ、G7サミットのような経済会議での主要トピックになるなど、注目度の高いサーキュラーエコノミー。ですがその言葉が示す実質的な内容は知らない……、という方はたくさんいらっしゃいます。
そこでここでは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の意味と、サーキュラーエコノミーに関する取り組みや世界が目指す方向性について、簡単にですがご紹介します!
■SDGsについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
⇒『SDGsとは「持続可能な開発目標」!17個の目標と世界の中の日本の達成状況、SDGs基本情報まとめ』
Contents
サーキュラーエコノミー(循環経済)とは
2015年12月、EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は、ヨーロッパ経済を循環経済システムへと移行させるための「サーキュラーエコノミーパッケージ」(略して“CEP”)を採択しました。
ではサーキュラーエコノミーとは、どのような意味なのでしょうか。
これまでの経済は「線形経済」(Linear Economy)と呼ばれる、「大量生産・大量消費・大量廃棄」によって最終的に「資源のムダ使い」「環境破壊」を招く、一歩通行の経済形態が主流でした。
しかし新たに提案された「循環経済」(サーキュラーエコノミー)は、省資源で持続可能な製品を作り、持続可能な消費活動を行い、使用後の製品や資源は適切に回収したり手を加えたりして、最大限リデュース・リユース・リサイクル(3R)することで、資源のムダを省き、環境破壊のリスクを低減させる経済形態を指します。
■上画像出典元:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h28/html/hj1601030301.html)
サーキュラーエコノミーパッケージの採択は、まさに円を描くように、資源・生産物が人の手に渡った後にも適切に循環する、地球にもヒトにも良い経済活動に、ヨーロッパ諸国が本格的に動き出したことを示しているのです。
【補足:Europe2020】
「サーキュラーエコノミーパッケージ」は、2020年までに実施する具体的な行動計画と、廃棄物関連指令の改正案など、複数の法案から成り立っています。
「2020年まで」という期限がある理由は、2010年3月に発表された、雇用と成長に関するEUの今後10年の政策方針を定めた「Europe2020(欧州2020)」達成のための施策のひとつが、「サーキュラーエコノミーパッケージ」であるからです。
■「Europe2020」についての参考文献:JETRO(2010)「欧州 2020(EU の 2020 年までの戦略)の概要」https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000263/eu_2020.pdf
循環経済は合理的!
ではなぜこのような、従来の線形経済から循環経済へと移行する必要性が出てきたのでしょうか。
そこには、気候変動や環境汚染、生物多様性の損失、資源枯渇とそれに伴う社会の不安定化など、これ以上「文明社会の発達・発展」の名のもとに見過ごすことができない、地球規模での多大な危機が目の前に存在するから、という理由が挙げられます。
※上画像:“zero waste”(ゼロウェイスト)とは、廃棄物の発生や資源の浪費をなくす(0にする)ための活動です。
ここまでの説明を聞くと、「サーキュラーエコノミー=地球環境に優しくする取り組み」のように思われるかもしれません。
ですが実は、このサーキュラーエコノミーは環境問題にとってのみ、良い事なのではありません。
たとえば限られた量の天然資源を効率的に使用することは、経済的な視点から見て、企業にとってもメリットがあり、合理的なのです。
またサーキュラーエコノミーを目指した新たな製品やサービスの開発は、新たなビジネスを生むチャンスでもあります。そのほか、これまで無価値とされていた保有資産や廃棄物を「価値あるモノ」に転換させることも、企業の収益増大につながります。
先述した「サーキュラーエコノミーパッケージ」は、れっきとした新たな「経済成長戦略」であり、「環境への配慮だけを推し進めているのではない」という点が重要なのです!
日本でのサーキュラーエコノミー関連活動
日本では2018年10月22日~23日に、「世界循環経済フォーラム2018」(World Circular Economy Forum 略して“WCEF”)が、横浜市のパシフィコ横浜にて開催されました。
世界循環経済フォーラムは、EUに属するフィンランド共和国政府が「フィンランド・イノベーション基金 (Sitra)を通じて進めている世界的取り組みの1つ」(環境省「世界循環経済フォーラム2018プログラム」より)です。
※2017年6月に、第1回WCEFがフィンランドのヘルシンキにて開催されています。
そのため、第2回目となるWCEF2018は、Sitraと日本国環境省との共催によって行われました。
フォーラムでは、「世界的に都市化が進むなかでの食料・食品に関する循環経済・循環システムについて」「日本国内での循環経済に関する取り組み」「地方や発展途上国での循環経済の意義」「SDGsに絡めた循環経済に向けた教育制度」「プラスチックや金属などのリサイクル材の市場と循環貿易について」などのトピックスセッションが、国内外の有識者を招いて行われ、2050年に向けた循環ビジョンが発表されました。
■世界循環経済フォーラム(WCEF)2018の結果や、「日本国環境省とフィンランド共和国環境省の間の環境分野での協力覚書」など、詳しい資料はこちら
⇒環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/press/106091.html)
【追記:世界循環経済フォーラム2019】
2019年6月3日(月)~5日(水)に、フィンランドのヘルシンキにて、第3回目の「世界循環経済フォーラム2019(WCEF2019)」が開催されました。
日本からはあきもと環境副大臣が出席。昨年2018年度に主催した「世界循環経済フォーラム2018」の結果を踏まえ、「日本の循環型社会の構築に向けた取組」「G20に向けた海洋プラスチックごみ対策」等について講演を行いました。
■世界循環経済フォーラム(WCEF)2019の結果など、資料はこちら
⇒環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/press/106853.html)
サーキュラーエコノミーが未来を左右する!
「サーキュラーエコノミー」や「循環経済」という言葉を聞くと、専門的な経済用語として興味が持てない方もいるかもしれません。
しかし
・カーシェアリング・・・1台の車を複数人で使用する。自転車もあり。
・フードシェアリング・・・店舗やレストランで余った食材・食品を、お求めやすい価格で消費者に提供する。フードロスの削減にもなる。
・空間シェアリング・・・空きスペースの貸出(時間貸しから宿泊目的まで)。キッチンなどを複数人利用する。
※以上のような、提供者・利用者双方の利害が合致して行われるシェア行動は、「シェアリングエコノミー」と呼ばれる。
・アップサイクル・・・廃棄処分予定だった布地や廃材を使って別アイテムにし、付加価値を高める。
・プラスチック素材のリサイクル、再生プラスチック使用・・・企業単位での、現行のプラスチック製品容器やパッケージの見直しをする。
といった事例を挙げると、意外と身近なところにサーキュラーエコノミーの動きが見られるとは思いませんか?
EUでは、たとえばオランドのアムステルダムは「サーキュラーエコノミータウン」として、街を挙げて積極的に「学びながら」循環経済活動を普及させており、2050年には完全なサーキュラーエコノミーの達成を目指しています。
■参考文献:サーキュラーエコノミー研究家AKIHIRO YASUI(安居 昭博)氏の公式サイト「アムステルダム市 2050年プラン『サーキュラー・エコノミー』(全文訳)」http://www.blog.akihiroyasui.com/amsterdamcirculareconomypolicy/
企業だけではなく、個人個人がサーキュラーエコノミーの考え方を日常生活の行動に落とし込んで意識することが、この先の世界的な経済と地球環境を左右すると期待して、小さな気づきから始めてみてはいかがでしょうか。
*********
■マイクロプラスチックによる海洋汚染について、詳しくはこちら
⇒『【マイクロプラスチック汚染】洗顔料のマイクロビーズが海も人体も汚染する!?世界が全面禁止を始めたプラスチック製品の弊害』
■食品ロス(フードロス)について、詳しくはこちら
⇒『食品ロス(フードロス)問題|フードシェアリングって?食料廃棄の膨大な量と「もったいない」実践のススメ』
■アップサイクルやアップサイクルブランドについて、詳しくはこちら
⇒『アップサイクルブランド9選|アップサイクルでヴィンテージに新たな価値と存在感をプラス!』
■バッグのシェアリングサービス紹介など、エシカルファッションブランドについて、詳しくはこちら
⇒『国内外エシカルファッションブランド19選|オーガニックコットン、草木染、フェアトレードアイテムを探すなら!』
■サステナブルをベースにしたファッションブランドについて、詳しくはこちら
⇒『エシカルファッション日本海外ブランド11選|環境に優しくファッション性も高い人気のアパレルブランド紹介』