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リジェネラティブ農業とは?サステナブルな未来を築く環境再生型農業について

「リジェネラティブ農業」は、土壌と生態系の再生を中心とした新しい農業のアプローチ。エシカルな視点で、未来の世代のための持続可能な農業を実現することを目的としています。オーガニック農業との違い、リジェネラティブ・オーガニック認証やその現状と未来についても深堀りします。

みなさんは、「リジェネラティブ農業」(regenerative agriculture)という言葉をお聞きになったことがありますか?

リジェネラティブ農業(日本語では「環境再生型農業」)とは、従来の農業手法を再考し、土壌の健康や生態系の再生を中心に据えた新しいアプローチの農業を指します。この農業方法は、単に収穫を増やすだけでなく、環境を守り、持続可能な農業を実現することを目指しているのです。

リジェネラティブ農業とは?サステナブルな未来を築く環境再生型農業について

エシカルな考え方と結びつき、将来の世代のためにサステナブルな農業環境を築く手助けをすることが、リジェネラティブ農業の真髄と言えるかと思います。

そこで以下では、リジェネラティブ農業が私たちの未来にどのような影響を及ぼすか、その詳細と重要性について分かりやすくご説明していきます。

リジェネラティブ農業とは

リジェネラティブ農業とは、土壌の健康と生態系の回復を目的とした持続可能な農業手法の一つです。

歴史を辿ると、過去の伝統的な農業技術や先住民の知識がベースとなっており、現代の環境問題や食糧危機への対応策として再評価されています。

その主要な特徴として、化学肥料や農薬の使用を極力減少させ、自然のサイクルや生物多様性を尊重し、土壌の再生と空気中の二酸化炭素の吸収を促進する点が挙げられます。

この農法は、現代の持続不可能な農業実践からの転換を提案しているのです!

【リジェネラティブ農業の条件】

リジェネラティブ農業は、土壌の健康、生態系の回復、および持続的な生産を目的とした農業アプローチです。その実践のためには以下のような、いくつかの主要な条件や原則があります。

■土壌の健康を向上させる:土壌の健康と生物活性を高めるため、有機物の含有量を増やし、土壌の生物活性を促進する。

■輪作:同じ土地で異なる作物を定期的に交互に栽培し、土壌の栄養循環を助け、害虫や病害のリスクを減少させる。

■カバークロップ(被覆作物):収穫後やオフシーズンに土壌を覆うための作物を栽培し、土壌の浸食を防ぎ、有機物の含有量を増やす。

■自然の天敵を利用した害虫管理:化学的な農薬の使用を減少し、代わりに天然の天敵や生物的な手法を使用して害虫を管理する。

■適切な放牧:定期的に家畜を移動させることで、土壌の健康を維持し、過度な放牧による損傷を防ぐ。

■化学肥料や農薬の極力低減:天然の肥料やコンポストを使用して土壌の健康を維持し、化学的なものを最小限に抑える。

■土地の持続的な管理:農地の持続的で効果的な利用を促すための施策や管理方法を実践する。

■地下水の保護と再生:持続可能な水利用方法を採用し、水の質を維持・改善する。

リジェネラティブ農業とは

なお、具体的な実践方法などは、地域や農場の状況によって異なることがあります。

リジェネラティブ農業のエシカルな価値

リジェネラティブ農業を実践することは、深いエシカル(倫理的)な価値があります。

第一に、土壌や水資源、生物多様性といった自然環境を尊重し、それらを守る行為は、「次世代への責任を果たす」という倫理的な意識から生まれています。

具体的には、農地に化学肥料や農薬を過度に使用することで生じる環境への負荷を軽減するため、有機的な肥料や天然の防虫方法を採用する農家が増えています。これにより、消費者に安全な食品を提供することが可能となります。

また、リジェネラティブ農業は、小規模農家や地域社会の経済的な自立を支援します。地域資源や伝統的な知識を最大限に活用することで、持続可能な生計を築く道が開かれるのです。

このように、リジェネラティブ農業は、環境、経済、そして社会の三つの面でエシカルな価値をもっているのです!

リジェネラティブ農業とサステナビリティの関係

リジェネラティブ農業は、サステナビリティ(持続可能性)の3つの主要な柱――環境、経済、社会――と深く結びついています。

■環境的側面:土壌の健康を回復するプロセスは、生物多様性の増加と共に、地球の炭素吸収能力を向上させます。

例えば、カバークロップの使用や有機物の増加は、土壌の中の有益な微生物の活動を高め、より多くの炭素を長期間保持します。このようにして、気候変動の影響を緩和し、気温の上昇を抑制する手助けをするのです。

■経済的側面:リジェネラティブ農業を実践する農家は、化学肥料や農薬の使用を削減することが可能です。これにより、初期の投資が必要ではあるものの、中長期でのコスト削減が期待できます。

また、健全な土壌から生産される作物は、品質が高く、消費者からの高い評価や付加価値を得られる可能性が増えます。

■社会的側面:リジェネラティブ農業は、地域コミュニティに新しい雇用機会をもたらすだけでなく、地域の文化や歴史に根ざした農業技術を保存・発展させることができます。

例として、伝統的な種子の保存や土地利用の方法を現代の知識と組み合わせることで、地域のアイデンティティを維持しつつ、新しい価値を生み出すことが期待されます。

このように、リジェネラティブ農業は、私たちの生活の質を維持・向上させるための持続可能な手段として、多くのポジティブな影響を持っているのです!

リジェネラティブ農業とオーガニック農業の違い

リジェネラティブ農業とオーガニック農業、これら二つの農業アプローチは、持続可能な食糧生産において頻繁に言及されるキーワードです。

そのため、それぞれが持つ意味や背景を正確に理解することは、一般消費者としても、日常生活での買い物などの場面で必要ではないでしょうか。

まずオーガニック農業は、農薬や化学肥料の使用を極力避け、自然のサイクルに基づいた農業手法を採用することを主眼としています。健全な作物と土壌のバランスを保つための方法として、多くの農家が選択しています。

一方、リジェネラティブ農業は、土壌の健康と再生を中心としたアプローチです。これは、土壌の健康を改善し、空気中の二酸化炭素の吸収を促進し、生物多様性を増加させることを目的としています。

リジェネラティブ農業は、単に化学物質の使用を避けるだけでなく、「農地そのものの再生と持続可能性」を追求しているのです。

リジェネラティブ農業とは

なお、両方のアプローチには類似点もあります。例えば、化学的な物質の使用量削減や生態系の保護といった点での共通の目的が挙げられます。しかし、その核となる焦点・目的や取り組み方において、リジェネラティブとオーガニックは異なる哲学を持っていると言えるのです。

このように、リジェネラティブ農業とオーガニック農業は、その名前の背後に持つ意味や目的において、微妙な違いと共通点を持っています。

それぞれの考え方やアプローチ方法についてある程度知っておくことは、私たち一般消費者が選ぶ食材・食品や、それらを日々生産してくれる農業の形をより良くする手助けになるはずです。

リジェネラティブ・オーガニック認証(ROC)とは

「リジェネラティブ・オーガニック認証 (Regenerative Organic Certified: ROC、RO認証)」とは、リジェネラティブ農業の原則を基に、既存のオーガニック認証をさらに進化させることを目的とした認証制度です。

Regenerative Organic Certified
※上画像:Regenerative Organic Alliance公式サイトより

この認証は、リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス (Regenerative Organic Alliance) によって導入されました。

Regenerative Organic Alliance
※上画像:Regenerative Organic Alliance公式サイトより

ROCは以下の三つの主要な柱に焦点を当てています。

■土壌の健康:リジェネラティブ農業の核となる点。土壌の健康と生物多様性の向上、炭素固定(=CO2を炭素化合物として留めること)、そして持続的な土壌管理の方法が推奨されています。

・土壌の炭素含有量を増やす方法の導入
・土壌浸食の防止
・化学的な農薬や合成肥料の使用を避ける
・多様な作物の輪作や多年生植物の利用
・カバークロップ(緑肥作物)の使用

■動物の福祉:ROCは、動物の倫理的な取り扱いを重視しています。具体的には、放牧や草食動物のための適切な飼養環境、クルエルティフリー(非残酷)な取り扱いなどが求められます。

・高い動物福祉の基準を導入(例:放牧、適切な居住空間)
・過度な医薬品の使用の制限
・自然な行動の展開を可能にする環境の提供

■労働者の権利:社会的公正の観点から、労働者の権利と公正な賃金、適切な労働条件などの確保が重要とされています。

・公正な賃金の支払い
・安全な労働環境の確保
・労働者の権利を尊重し、差別や搾取を防ぐ
・労働者の声を尊重するメカニズムの設置

その他、「透明性の確保」「定期的な監査や評価」「トレーサビリティの確保」を主要な基準としています。

※実際の取り組みや認証プロセスには、これらの基準を更に具体化した詳細なガイドラインや要件があります。

ROCは、既存のオーガニック認証(例えば、USDAのオーガニック認証)をベースに、これらの追加基準を満たすことで取得することができる認証です。そのため、ROCを取得するためには、まず既存のオーガニック認証を取得している必要があります。

この認証制度の目的は、単に持続可能な食品生産を目指すだけでなく、農業全体の社会的、環境的側面を向上させることにあります。

リジェネラティブ・オーガニック認証は、より包括的な取り組みを通じて、食品の品質だけでなく、その背後にあるプロセスや価値も保証することを目指しているのです!

リジェネラティブ農業の現状と未来

リジェネラティブ農業の取り組みは、今日の農業界で急速に広がっており、多くの農家や企業がその重要性を認識し始めています。現状、一部の先進的な農家やブランド・企業は、リジェネラティブ農業の実践と普及をリードしています。

これら環境に配慮した取り組みにより、土壌の健康回復や炭素固定などの環境的利益が明らかになりつつあります。

未来に向けて、この動きは更に拡大すると予想されます。気候変動の進行や生態系の喪失に対する懸念が増大する中で、持続可能で環境に優しい農業方法へのシフトは避けられないトレンドとなるでしょう。

リジェネラティブ農業の原則は、次世代の農業者にとって基本となり、農業界全体の革命をもたらす可能性を秘めています。

このような背景を踏まえて、私たち一般消費者もリジェネラティブ農業の更なる進化と普及を期待し、持続可能な未来を築く上での大きな一歩としてその価値を高く評価していきたく思います。

リジェネラティブ農業とは

【参考文献・サイト】
・SMART AGRYサイト内記事『リジェネラティブ農業とは? 世界で注目されている農法を事例と共に紹介』
・Sustainable Japanサイト内記事『リジェネラティブ農業』

・Regenerative Organic Alliance公式サイト https://regenorganic.org/
・UP FOOD PROJECT サイト内記事『リジェネラティブ農業(環境再生型農業)とは?世界と日本の動向について』https://onl.bz/NgbEcwG
・patagonia公式サイト内記事『なぜ、リジェネラティブ・オーガニックなのか?』 https://www.patagonia.jp/regenerative-organic/

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この記事を書いた人

奥田真由子

AEAJ認定アロマテラピーアドバイザー、AEAJ認定環境カオリスタ、AEAJ認定ナチュラルビューティスタイリスト。京都府立大学大学院英語英米文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。文学研究を通して社会と人のあり方を考えていた経験から、国内外エシカル関連の情報を「肩ひじ張らずに」探求したく日々勉強中。 ※2023年3月Fmヨコハマ 「Keep Green & Blue」出演https://www.fmyokohama.jp/keep/2023/03/post-18.html

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