LIFE 公開:

心のしなやかさだけじゃないレジリエンス|教育・環境・社会・生態系レジリエンスの重要性とサステナビリティ

【レジリエンスの意味とは|レジリエンスの高い心・環境・社会を作るには?】「レジリエンス」は環境・社会・教育などの分野において様々な問題に直面している現代人こそ、知っておくべき概念です。子どもへの教育や都市計画など多方面におけるレジリエンスの重要性や高める方法を知って、各取り組みを学び実践してみましょう!

「地球温暖化」「気候変動」「異常気象」という言葉が一般の人々の口に上がるようになってから久しくなっていますが、ここ直近に限っても日本国内のみならず、世界各地で起こっている深刻な「気候危機」は、もはや目をそらすことができないほどの規模となっています。

地球温暖化

当然ながら、地球の生態系は「目に見える」または「(今は)目に見えない」レベルでの影響を受けており、今後も人間の予測を超えた自然災害が起こるであろうことは否めません。

また、2008年に起きたリーマン・ショックのような金融危機・経済崩壊、連鎖する世界経済恐慌といった経済上の打撃は、市井の人々の生活に直結しており、ひいては人々の精神的な崩壊や子供たちの教育環境の劣化など、次世代に続く悪循環を生むきっかけにもなりえます。

このような不安な事象に囲まれた昨今、「レジリエンス」という言葉が再注目されていることをご存じでしょうか。

「レジリエンス」は、環境・社会・教育などの分野において様々な問題に直面している現代人こそ、知っておくべき概念ではないかと思われます。

そこで、この記事では特定の分野における専門用語として捉えられている「レジリエンス」について、簡単にですがご説明します。

レジリエンスとは

「レジリエンス(resilience)」とは元々、物質の「弾力性」(=外からの衝撃・力を吸収して変形した後で、元の形に戻ろうとする性質)を意味する物理学用語です。

ですがその意味から派生して、心理学では人間の心における(困難な状況で打ちのめされた後の)「回復力」や「立ち直る力」、「心のしなやかさ」を指すようになりました。

心理学的レジリエンス

さらには、生態環境学では生態系における(気候変動や環境汚染などの悪影響からの)「回復力」、経済学では(経済が内外からマイナス影響を受けた際の)「元々の経済水準への回復力」も指すようになり、それぞれの分野にて「レジリエンス」という概念の捉え方や活用法は発展を遂げつつ、今日に至っています。

回復力が求められる現実

ここ数年で「レジリエンス」は各分野の専門家のみの研究対象ではなく、「災害時における地域社会のレジリエンス」「子育て・教育におけるレジリエンス」のように、より広く一般社会に適応され、国際機関のみならず、国内外の地方自治体や教育現場、また一般の保護者・市民などのあいだでも議論や周知がされるようになってきています。

災害レジリエンス

このように、個々人がレジリエンスを重要視し、現状よりも高いレジリエンスを育てるための取り組みがなされる傾向は喜ばしいことです。

反面、社会も人々も環境も「しなやかに回復」しなければならないような危機的状況が多方面に存在する、という事実の裏返しとも言えるでしょう。

ですが、まずは「生きる」ことの不安定さを直視して「心理的なレジリエンス」――つまり「困難な状況や失敗を避けるのではなく一度受け止めて、しなやかに回復し成長する心」を獲得することで、外の世界でいつ何時起こるか分からない危機への対応力・回復力を得るために、各取り組みを学び進めることが重要なのです!
教育的レジリエンス

昨今、「サステナビリティ(持続可能性)」「持続可能な社会」という言葉が注目されています。

個々人の人生の持続可能性も、個人個人が集まり形成する社会の持続可能性も、より俯瞰的に見た広い範囲での環境・生態系の持続可能性を実現するためにも、多方面での「レジリエンス」を大切に育てる――この意識が(サステナビリティの第一歩として)浸透する社会環境づくりが望まれます。

補足:「100レジリエンス都市」とは

2013年に、アメリカ合衆国のロックフェラー財団(Rockefeller Foundation)は、世界各国の都市を対象としたレジリエンス向上支援プログラム「100レジリエンス都市」(100 Resilient Cities, 略して“100RC”)を創設しましたが、2019年7月31日に終了となりました(支援自体は継続)。

“100RC”とは、世界から100都市においてレジリエンス向上の最高責任者“Chief Resilience Officer”を任命し、各都市のレジリエンス強化計画の立案や組織作りなどを、財政面・専門的ナレッジ面などからサポートするプログラム。

日本からは京都市と富山市が選出されており、たとえば2016年に選出された京都市では、2019年3月18日に「京都市レジリエンス戦略」を策定しています。

【参考文献・サイト】

■幸せ経済社会研究所
https://www.ishes.org/

■一般社団法人レジリエンス協会
https://resilience-japan.org/

■レジリエンスジャパン推進協議会
http://www.resilience-jp.biz/

■一般社団法人日本レジリエンス医学研究所
http://resilience-j.org/

この記事を書いた人

ライター:奥田真由子

アロマテラピー検定1級、環境カオリスタ、ナチュラルビューティスタイリスト。京都府立大学大学院英語英米文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。文学研究を通して社会と人のあり方を考えていた経験から、国内外エシカル関連の情報を「肩ひじ張らずに」探求したく日々勉強中。