FASHION 2018.02.26

ファストファッションとエシカルファッション―安価であることが意味する影の部分の代償は?

ファストファッション、エシカルファッションの意味・違い、問題点などについてまとめました!ラナプラザビル倒壊事故とは?ファストファッションはどうしてお求めやすい価格なのか、考えたことがありますか?

この10年ほどで一気に浸透し、もはやその低価格(プチプラ)にそれほど驚くことがなくなってしまった感のある「ファストファッション」(Fast Fashion)のブランドたち。

ほとんどの方が少なくとも1枚は、ファストファッションの服を持っていたり、もしくはシーズンごとに流行のアイテムを求めて店舗やオンラインショップで購入したりと、生活のなかに何かしらファストファッションの商品が見られることは当たり前となっています。

ファストファッションイメージ

しかしどうしてこれらファストファッションブランドの服や靴、バッグ、アクセサリーなどが、他のブランドの数分の1の価格で市場に出回り、企業利益を上げることができるのか、考えたことはありますか?

これまで何の疑問もなく愛用してきた多くのファストファッションが抱える問題に気づいたとき、その反対側の視点から作られた「エシカルファッション」(Ethical Fashion)の存在が、違ったように見えるようになるかもしれません。

ファストファッションって何?

「ファストファッション」の名称は以前からあった「ファストフード」から取られ、2000年代に生まれました。流行に沿ったデザインの服飾ファッションアイテムを大量生産・低価格で販売し、さらには商品の入れ替わりの早さも売りになっています。

おしゃれ好きな人がついつい新しいアイテムを安いからと購入してしまう、ファストファッションの消費欲刺激システムは、一度はまるとなかなか抜け出すことはできないでしょう。

しかし2013年4月24日に起きた、バングラデシュの首都ダッカ近郊でのラナプラザビル倒壊事故は、ファストファッションの影の部分をブランド企業や店舗のある先進国の人々に知らしめる、大きなきっかけとなりました。

ファストファッションは誰が作っているのか?

ラナプラザビルとは、縫製工場が入っていたバングラデシュにあった8階建てビルの名称です。このビルは違法建築だった上に発電機の振動に耐えられず倒壊し、1,100人以上の命がなくなり、約2,500人が負傷、約200人が行方不明となりました。

このラナプラザビル倒壊による犠牲者の多くは、先進国に輸出されるファストファッションブランドの下請け(のさらに下請け)をしている縫製工場で働く労働者たちであり、中には生活のために働く児童もいました。

さらに彼らはあまりにも不当な低賃金で休みなく働かされ、罰則や差別など人権を無視した過酷な労働環境を甘んじて受け入れるしかなかったことなどが判明しました。

自分たちが身に着けている衣服が「誰によって」「どのような労働環境で」作られているのか――バングラデシュのビルの倒壊事故は、事故の悲惨さもさることながら、当たり前のように低価格なファストファッションを購買していた一般消費者に衝撃を与えました。

低価格が生み出す過酷な労働環境の現実

ではラナプラザビル倒壊事故から、先進国のあり方は何か変わったのでしょうか?

残念ながらファストファッションの代表として挙げられる世界的企業の多くは、バングラデシュやカンボジア、中国、インドなどにある下請け(の下請けの……)の工場の実態について把握はしておらず、労働者たちが正当な賃金で人間らしい扱いを受けているのかどうか、結局不透明なままなのです。

※2016年の段階でも、大手ファストファッションブランドのトルコにある縫製工場にて、シリア難民の子供が低賃金かつ過酷な労働環境で働いていることが(企業側は認めていないものの)報道されています。

買って捨てる罪悪感のなさがゴミを増やす!

さらにはプチプラ(低価格)が魅力のファストファッションが流通することで、「すぐに買い、すぐに捨てる」感覚が社会に蔓延してしまいました。

ニットなどの服の塊

日本だけでも衣料品が年間約20億着(2010年のデータ)も捨てられていると言われています。

日本だけでもこれだけの量ということは、世界規模で考えると、ゴミとなった衣料品の数はあまりにも膨大。さらには生産過程において余った布地などもゴミとなります。

このファストファッションが生み出す大量のゴミ問題は、地球環境に大きな負担をかけてもいるのです。

エシカルファッションとは

このようなファッション業界における低価格競争とその社会的な弊害に疑問を持ち、作られたのが「エシカルファッション」です。

エシカルファッションを作り出すエシカルファッションブランドは、使用する素材の生産過程、縫製など製造を行う就労者の労働環境などを適正な方法で行い、地球環境にも配慮して生産活動を行っています。

またブランドアイテムの製造という仕事を発展途上国や貧困地域の人々に(元々根付いている伝統工芸のワザを活かすこともあれば、新たに技術を教えることも含め)提供し、適正な賃金を労働の対価として渡すことで、一過性で終わらない持続可能な自立した生活を確立してもらうことを目的としています。

このような発展途上国の生産者と先進国の企業が公平な取引を行うことを「フェアトレード(公正貿易)」と言いますが、エシカルファッションはフェアトレードとも密接な関係があり、フェアトレード認定されたファッションアイテムを「エシカルファッション」とも呼ぶのです。

エシカルファッションがもたらす未来

エシカルファッションと聞くと、なんだか優等生的なイメージを持ってしまうかもしれません。しかし今や、多種多様なエシカルファッションブランドが存在し、以前と比べてブランドのテイストも幅広くあります。

確かに低価格で入れ替わりの激しいファストファッションは、安易に手を伸ばすことができ、一時の物欲を簡単に満たしてはくれます。

ファストファッションの店舗イメージ

しかし溢れかえったそれらがどのような環境でどのような人によって作られ、どのような結果を地球に及ぼしているのかを考えてみることは、ひとつの地球上で暮らす私たちの未来を考えることにも匹敵するのです。

※日本では、
ETHICAL FASHION JAPAN(EFJ)
日本エシカルファッション協会 

というエシカルファッション推進団体、協会があり、エシカルファッションの普及活動を行っています。