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フェアトレードとコーヒーの真実|コーヒー生産者の実情とフェアトレード認証コーヒーの重要性

「エシカルコーヒー」「フェアトレードコーヒー」という言葉、聞いたことありますか?身近な嗜好品コーヒーの取引の実態やコーヒー生産者の切迫した実情などをまとめました。一大国際貿易商品コーヒーを取り巻く悲惨な状況を知ることで、なぜフェアトレード認証のコーヒーや商品を選ぶことに意義があるのかを、一緒に考えてみませんか?

(毎年5月第2土曜日)世界中でフェアトレードをアピールする日。5月は世界フェアトレード月間です!

みなさんが日常生活のなかで身近に接する嗜好品のひとつである「コーヒー」(コーヒーがすきじゃない方はごめんなさい)。

コーヒーとコーヒー豆

ここ数十年でチェーン展開するカフェが急速に広まったこともあり、コーヒーを飲まない時でもコーヒーに関連したモノ・コトを目にする機会はかなり多いかと思います。

とはいえコーヒー好きでさえ多くの方がご存じでないのが、過去から現在にいたる「コーヒー生産者の実情」。

これほどまでにコーヒーが世界中で消費されているということは、必ず多数の「生産者」が存在し、大きな市場で「取引」がなされているはず、ですよね。

実はこの「コーヒー」「コーヒー生産者」「コーヒー市場」にまつわるエシカルな活動が現在、世界的に行われているのです。

発展途上国におけるコーヒー生産者と先進国企業との取引の実態

一般消費者がコーヒー産業にまつわる悲惨な状況を知るきっかけになったと言えるのが、2006年公開の英米合作のドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』(原題:“Black Gold”)です。

簡単にご紹介すると、この映画では以下のようなことが描かれています。

コーヒーの世界市場は石油に次ぐ規模(全世界での1日の消費量は約20億杯)であり、一大国際貿易商品です。

しかしコーヒー農場の生産者たちは、先進国の取引企業に低価格でコーヒー豆を買い叩かれたり、相場の暴落(主にニューヨークとロンドンの先物取引所にてコーヒーの市場価格は決定される)によって農園を手放さざるをえなくなったりと、生活の困窮にあえぐ状況が常態化しています。

※たとえば映画の公式サイトには、店舗で飲むコーヒー代のわずか0.4%(取引相場が暴落した時期はさらに下落し0.1%)のみがタンザニアのコーヒー農家に渡されるとあり、店舗には価格の90%以上が入ると書かれています。

コーヒーを入れるバリスタ

コーヒーを消費している先進国ではほとんど知られていなかったコーヒー産業の真実――そこでこの不条理な実態を変えるために、エシカル(倫理的)な取引や栽培のバックアップなどをコーヒー生産者とともに取り組んでいる企業が増えてきているのです。

フェアトレード認証コーヒーって?

フェアトレード認証マークがパッケージに入った「フェアトレード認証コーヒー」を、店頭やインターネット上で見かけたことはありませんか?

発展途上国におけるコーヒー生産者の生活の向上と地域社会の発展のために、フェアトレードは様々な取り組みを行っています。

たとえば、コーヒー豆を作る複数の小規模農家による「生産者組合」を作ることを推進することで、個々の農家だけではなし得ることが難しい、市場との直接交渉までできる組織力を高めていく取り組み。

これにより、コーヒー生産者個々人の生活だけではなく、地域全体が活性化し、さらに競争力をつけていくことができるようになります。

またフェアトレードとは切り離せない「持続可能、サステナブル」な生産力の維持も見逃せません。そこで決められているのが「フェアトレード最低価格」です。

国際市場における価格によって生産者の生活が不安定になることがないように、コーヒー豆を購入する輸入業者は決められた「フェアトレード最低価格」を事前に生産者組合に保証しなくてはいけません。

これにより、たとえ市場価格が暴落しても、生産者は最低ラインでの取引価格は守られるために、これまでのように貧困によって農園を手放すなどの不安定な生活からは抜け出せるのです。

さらにはコーヒー豆1ポンドあたりに輸入業者から生産者組合に奨励金(プレミアム)が与えられるため、奨励金を使って機材購入をしたり、地域社会の発展(病院や小学校建設など)に使ったりすることができます。

このようにフェアトレード認証を受けたコーヒーの生産者たちは、「フェアトレード最低価格」「奨励金」という、市場価格に生活が大きく左右されない保証を受けて、環境にも配慮した「持続可能」なコーヒー豆生産を行うことができるようになっているのです。

コーヒーが握る未来のエシカルな世界

1杯のコーヒーを何気なく飲む日常生活のなかでは、なかなかコーヒー豆を巡る世界的な労働・自然環境問題に気づくことはできません。

しかし世界中で飲まれるコーヒーには、多くの問題とともに可能性もまた広がっているのではないでしょうか。

コーヒー豆を持つ生産者

コーヒー豆生産の仕組みをきっかけに労働環境の改善、自然環境の保護・保全にまで目を向ける人が増え、コーヒーによって笑顔になる人が「生産側」も「購買・提供側」も「消費側」も増え続ける世界。

そこではエシカルな物事が当たり前のこととして話されるようになるのではないかと期待しつつ、今日もフェアトレード認証のコーヒーをじっくりと味わいたく思います!

この記事を書いた人

ライター:奥田真由子

AEAJ認定アロマテラピーアドバイザー、AEAJ認定環境カオリスタ、AEAJ認定ナチュラルビューティスタイリスト。京都府立大学大学院英語英米文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。文学研究を通して社会と人のあり方を考えていた経験から、国内外エシカル関連の情報を「肩ひじ張らずに」探求したく日々勉強中。