【アップサイクルとは?リサイクルと違うの?】日本国内で年間約100万トンの衣類が廃棄されている事実!廃棄物を活かして寿命を延ばすアップサイクルが見直されています。モノに新たな命を吹き込む国内外アップサイクルブランド(バッグ、洋服、編み糸、アクセサリー、家具など)をピックアップしてご紹介します!
「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」(これら3つの頭文字を取った総称が「3R(スリーアール)」)という言葉は、一般的にも広く認知されるようになっており、特にリサイクルに関しては、日々のごみの分別などで意識されている方が多いかと思います。
ですが最近では、これらに加えて「Upcycle(アップサイクル)」という、リサイクルとは似ているようで異なる「廃棄物へのサステナブルなアプローチ方法」が、ファッション業界を中心に注目されてきています!
なぜなら、リサイクルが「(原料に戻した後)再生+利用=再循環」を意味するのに対し、アップサイクルは「(素材はそのままで)+価値」を重視し、「素材の良さをうまく活用することで、物の寿命を延ばして愛用する(される)」ことを目的とする点が評価されているからです。
とはいえ、中には「たくさんの新しいファッション製品が毎日生み出されているのに、どうしてわざわざ既存の古い素材を使ってアップサイクルするの?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに世界中のたくさんの店舗では、シーズンごとにステキなファッションアイテムたちが入れ替わり販売されています。
しかしその裏側では、日本国内に限っても「年間約100万トン」の衣類が廃棄されている事実があるのです。この廃棄量は、1着300g計算の場合、約33億着分に相当します!
これを世界規模で考えた場合、あまりに膨大な廃棄量に想像がつかないほどですよね。
そこで、ブランドやショップの大小にかかわらず、アップサイクルの考え方に価値を見出し、またはアップサイクルによってさらなる存在感を高めたアイテムに価値を見出す人々が、世界中で増えてきているのです。
そのため、この記事では先に「クリーニングディ」というアップサイクルイベントについてご説明した後、国内外のアップサイクルブランド、またはアップサイクル製品取扱いショップ(アパレル・ファッション雑貨系から家具・インテリアまで)をご紹介します!
■アップサイクルについて、その他のアップサイクルブランドについては、こちらの記事でもご紹介しています。
⇒『アップサイクルブランド10選|アップサイクルでヴィンテージに新たな価値と存在感をプラス!』
Contents
フィンランド発「クリーニングディ」とは?
「Cleaning Day(クリーニングディ)」とは、北欧の国フィンランドで2012年より始まった、リサイクル・カルチャー・イベント。
年2回(5月4週目・8月最終週の土曜日)に開催され、オフィシャルサイトに登録すれば、誰でもどこでもフリーマーケットを開催できます。
日本では、アップサイクルをコンセプトにして行われており、上述の年2回の日程以外にも「スピンオフ開催」として、全国で大小のクリーニングディが随時開催されるようになっているのです!
※フリーマーケット形式ではなく、交換会でもOKとのこと。ワークショップや食事会をされる事もあります。クリーニングデイ・ジャパン事務局公式FBをチェック!
中には扱うジャンルを特定したクリーニングディもあり、たとえば本の交換に特化した「クリーニングデイ・ブックス」などが不定期で開催されています。
モノをあいだに挟みつつ、初対面の方や顔なじみの方たちと楽しく語り合うことができるのも、クリーニングディの魅力のひとつ。少しでもご興味がある方は、クリーニングデイ・ジャパン事務局の公式サイトをぜひチェックしてみてくださいね!
■クリーニングデイ・ジャパン事務局公式サイト http://cleaningday.jp/
ラブ アンド センス(Love & sense)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: リサイクルのプルタブでできたバッグやアクセサリーを取り扱っている。
・展開アイテム例:レディースファッションウエア、バッグ、アクセサリー
※公式インスタグラムより
2006年の会社設立からフェアトレード問題に取り組んでいる株式会社福市が展開しているフェアトレードのセレクトショップ「ラブ アンド センス(Love & sense)」。
そこで取り扱われている「プルタブシリーズ(PULL TAB series)」は、リサイクルのプルタブでできた、まさにアップサイクルなバッグやアクセサリー。ブラジルで作られている、フェアトレード製品です。
一見するとまさかプルタブとは思えないスタイリッシュなデザインと意外性のあるユニークさ、見た目に反する軽さや機能性に、トリコになる方が男女問わず増えています!
2014年にはソーシャルプロダクツ・アワードで「特別賞 アイデア×デザイン」を受賞している、実力派のアーティスティックな注目アイテムです。
蝉(semi)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: 屋外広告やイベントなどで使用されたフラッグなどで、バッグやポーチなどを製造・販売している。
・展開アイテム例:バッグ、カードケース
※公式インスタグラムより
「デザインの寿命を長くする」ことをベースにして、掲示期間が終了した屋外広告やバナー、フラッグなどの素材をリデザインし、新たなプロダクトとしてアップサイクルしている「蝉(semi)」。
1点1点デザインが異なり、さらには製品を構成する素材が、元々は有名デパートやイベントのフラッグなどを使用していると分かると、愛着もひとしおに!
トートやバックパック、ブリーフケースなど、形や大きさも様々なので、自分用にもプレゼント用にも選ぶ楽しさ満点です。
ワッカ(WAcKA)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴:新品の廃棄予定Tシャツをヤーン(糸)にアップサイクルしている。
・展開アイテム例:ヤーン、エコたわし、洗剤など
※公式インスタグラムより
2017年より、国内で廃棄されるTシャツを使ったアップサイクルヤーン「iTTo®︎」を展開しているアップサイクルブランド「ワッカ(WAcKA)」。
縫製を就労支援施設の方に依頼するなど、アップサイクルのみならず雇用問題を含む社会福祉・環境問題などを踏まえた事業展開をしており、「グッドライフアワード 環境と福祉賞」「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞。
また「サステナブル★セレクション」2つ星に選定されるなど、多方面から高く評価されています。
たとえばアップサイクルヤーン「iTTo 染」は、手作業で染められており、品質も高評価。サステナブルな環境づくりに貢献しながら、ヤーンを編む作品づくりにハマる方が続出です!
ワッカ(WAcKA)公式サイト
スマテリア(SMATERIA)
・設立された場所:カンボジア
・アップサイクルな特徴:カンボジアにて、蚊帳ネットやゴミ袋、レザーの切れ端など、廃材を使ったバッグを製造・販売している。
・展開アイテム例:バッグ
※公式インスタグラムより
2006 年に、カンボジアでイタリア人女性2人が、「軽くて丈夫な蚊帳ネットをバッグに仕立てたい!」と試行錯誤で作ったネットバッグがブランドの始まりの「スマテリア(SMATERIA)」。
現在ではカンボジア国内に5店舗、日本を含む世界20カ国で販売されているほどの、人気ブランドです!
廃材を使ったアップサイクルな点はもちろんのこと、カンボジアの女性の生活環境向上のために、女性の積極的な雇用や保育園・幼稚園の併設など、企業としてエシカルな姿勢を全面的に貫いている点も好感が持てます。
ビーキーパー パレード(BEEKEEPER PARADE)
・設立された場所:オーストラリア
・アップサイクルな特徴:廃棄処分予定の生地を使ったバッグを製造・販売している。
・展開アイテム例:バッグ
※公式インスタグラムより
オーストラリア・メルボルン発の、捨てられてしまうはずだった生地をアップサイクルするエシカルブランド「ビーキーパー パレード(BEEKEEPER PARADE)」。
多種多様な色柄の布地で作られたバッグが豊富にラインアップされており、選ぶのに困ってしまうほど個性的。
環境問題だけではなく、売り上げの一部からカンボジアに学校を建設し、子供達を教育支援している点も、ユーザーとして嬉しくなるポイントです!
タダス(tadas)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: 着物をアップサイクルし、洋服やアクセサリーなどを製造・販売している。
・展開アイテム例:レディースファッションウエア、アクセサリー、メンズのタイ
※公式インスタグラムより
着られなくなった着物を洋服などに作り直し、新たなストーリーを紡ぎ出している「タダス(tadas)」。
富山市のショップ内には、アトリエを併設。縫子さんが着物を丁寧に解き、裁断し、縫い合わせを行っています。
他ブランドとのコラボレーションや、他府県店舗でのポップアップストアなども随時開催されているため、要チェックです!
ムスカーン(MUSKAAN)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: 着物をアップサイクルし、洋服やインテリア雑貨などを製造・販売している。
・展開アイテム例:レディースファッションウエア、クッションカバー
※公式インスタグラムより
環境保全や社会貢献に配慮し、2019年4月に立ち上げられた新ブランド「ムスカーン(MUSKAAN)」。
第一弾プロジェクトとして、ヴィンテージ着物をアップサイクルし、現代的な洋服などを製作しています。
クリエイティブディレクターの方は、ロンドン芸術大学セントラルセントマーチン校にてサスティナブルファッションを学ばれた経緯があるため、今後もエシカルな視点でのファッションプロジェクトを展開されると期待できます!
ミウラクラフツ(Miura Crafts)※2022年10月店舗移転より「HOLLOWS GENERAL」に変更予定
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: 廃棄されるスケートボードで雑貨を製造・販売している。
・展開アイテム例:アクセサリー、キーフック、靴ベラ
※公式インスタグラムより
「Kobb(コブ)」のブランド名で、使用されなくなったスケートボードをアップサイクルし、雑貨を製造・販売している「ミウラクラフツ(Miura Crafts)」。
※2022年10月店舗移転より「HOLLOWS GENERAL」に変更予定
独特の木のぬくもりや個性的な色使いは、見ているだけでもワクワクします!
Webサイトでの販売点数は今後増える予定とのこと。これからの展開が楽しみなブランドです。
リクレイムドワークス(Reclaimed Works)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴: 再生をテーマに、アメリカ西海岸ローカルブランドの家具や古材、インテリア製品などを取り扱っている。
・展開アイテム例:家具、インテリア雑貨、住宅・店舗リフォーム
※公式インスタグラムより
主に、アメリカ西海岸(カルフォルニア)を中心としたローカルブランドの家具、Reclaimed Wood (古材)、アメリカ製のインテリアハードウエアを製造・販売している「リクレイムドワークス(Reclaimed Works)」。
さらには、家具のカスタムオーダーや店舗什器製作、店舗や住宅、オフィスなどの空間プロデュースまでも行っているため、オールドアメリカンな雰囲気づくりをトータルサポートしてもらえます。
※東京都内(神楽坂)に予約制のショールームがあります。
リクレイムドワークス(Reclaimed Works)公式サイト
家’s(yes)
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴:使われなくなった古い和箪笥(タンス)を、職人・アーティストと連携してアップサイクルしている。
アップサイクル和箪笥を販売するだけでなく、サブスクリプション(定期利用・貸出)サービスを行っている。
木彫りの熊をアーティストとともにアップサイクルするRe-Bear Projectを行っている。
遊休資産(不動産、家具など)を活かした古民家再生空間プロデュースを行っている。
・展開アイテム例:和箪笥
※公式インスタグラムより
約100年前の古い和箪笥をひきとり、職人さんやアーティストと連携してアップサイクルしている「家’s(yes)」。
使われなくなった家具に新たな価値をプラスし販売する従来の仕組みに加えて、2020年6月からは「循環型アップサイクル家具のサブスクリプションサービス」が開始されています!
月額制で使用でき、購入したい場合は商品金額からサブスクで支払い済みの価格は値引きされるとのこと。
伝統的な家具を定期的に修理して長く使える良さと、「いきなり古い家具を購入するのは難しい」という使用者の不安を払拭できる良さがある、アップサイクル家具のサブスクリプションサービス。
存在感のあるアーティスティックな和箪笥にご興味があるなら、ぜひサイトをチェックしてみてくださいね。
※2020年9月からは、「地球にやさしく、かっこよく」をコンセプトに、「既存の空間(モノ)を活かすことを前提に」した持続可能なリノベーションサービスも開始されています。
■リノベーションサービスについて詳しくはこちら
※2021年2月、小豆島にてオープンした女性専用シェアハウス「ayako-tei」の古民家再生空間プロデュースを実施。全体の家具の約65%を遊休家具(使用されていない家具)にすることで、家具の新たな魅力を引き出すとともに、家具の魅力によって遊休不動産もまた輝きを取り戻す相乗効果を図っています!
■女性専用シェアハウス「ayako-tei」について詳しくはこちら
家’s(yes)公式サイト
木彫りの熊のアップサイクル活動Re-Bear Projectについてはこちら
ミルクぱく子
・設立された場所:日本
・アップサイクルな特徴:牛乳パックとLLパックをアップサイクルしたバッグなどの小物を制作している。
・展開アイテム例:バッグ、封筒、ファイル、コインケース、など
※公式インスタグラムより
使用済み牛乳パックにミシンで加工をして、小物を作っているアップサイクル作家のミルクぱく子さん。
元は牛乳パックとはとても思えない、まるで上質の和紙のような趣あるシワ加工と丈夫さに、アップサイクルの可能性が感じられて個性的です。
素材を生かしたシンプルなデザインから、キモノヤーンと組み合わせたクラッチバッグなどファッション性の高いデザインまで揃っているので、さりげなくも存在感ある1点物アイテムを狙いたい方はぜひチェックを!
ワクワクしながらアップサイクルアイテムを選びたい!
「廃棄物」「廃材」というような言葉を見ると、まるで誰にとっても価値のないモノのように思えてしまいます。
しかし実際には、まだまだ使用できる(もしくは、一度も使用されたこともない新品も!)ステキな素材が大部分を占めており、アイデア次第で新たな命となって生まれ変わり、魅力が10倍にも100倍にも輝き始めるのです!
「アップサイクルは環境保護に良いから」という理由はもちろん大切。
ですが、まずは「見ていると気持ちが高まる、ワクワクする!」というシンプル&ポジティブな感情で、アップサイクル製品を手に取ってみる機会が増えれば、自然と笑顔までもどんどん増えていくのではないでしょうか!
■アップサイクルについて、その他のアップサイクルブランドについては、こちらの記事でもご紹介しています。
⇒『アップサイクルブランド11選|アップサイクルでヴィンテージに新たな価値と存在感をプラス!』
■エシカルジュエリー(アクセサリー)ブランド紹介はこちら
⇒『エシカルジュエリーブランド15選|アクセサリーもエシカルファッションで人と地球に優しさを広げよう!』
■アップサイクルも含むエシカル・サステナブルバッグブランド紹介はこちら
⇒『エシカル・サステナブルバッグ日本海外ブランド11選|エコでアップサイクルなバッグを自由に選ぼう!』
■エシカル・サステナブルシューズブランド紹介はこちら
⇒『サステナブルシューズ・スニーカーブランド13選|エシカルな靴を履いて足元からエコを楽しもう!』
■エシカル・サステナブルニットブランド紹介はこちら
⇒『国内外サステナブルなニットブランド7選|アップサイクル・エシカルファッションのすすめ』
■アップサイクルやリサイクル、生分解性・再生可能な素材などを使用しているキッチンアイテム・食器などはこちら
⇒『キッチン・テーブルウエア系エコグッズ14選|リサイクル・再生可能な素材でプラスチックフリーな便利アイテム紹介!』
■その他のエシカルファッションブランド紹介はこちら!アップサイクル製品を取り扱っているブランドもあります。
⇒『サステナブルファッションブランド日本海外18選|環境に優しくファッション性も高い人気のアパレルブランド紹介』
⇒『国内外エシカルファッションブランド27選|オーガニックコットン、草木染、フェアトレードアイテムを探すなら!』
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