毎年5月第2土曜日は世界フェアトレードデー!コーヒー・紅茶やチョコレートなどに見られる「フェアトレード」という言葉。ここ数年で広まっている「フェアトレード」(Fair Trade)ってどういう意味?フェアトレードの良い点は?国際的なフェアトレード機関って?など、フェアトレードに関する基本情報をまとめました!フェアトレード入門講座です。
(毎年5月第2土曜日)世界中でフェアトレードをアピールする日「世界フェアトレードデー」。5月は世界フェアトレード月間です!
エシカルの説明を読むと、何度も目にするのが「フェアトレード」という言葉――フェアトレードとは英語で“Fair Trade”と書き、「公平貿易」と直訳されます。
ここではフェアトレードについて、詳しく見ていきたいと思います。
フェアトレードは双方が心地よく取引できる継続的貿易方法
「フェアトレード」とは、発展途上国(開発途上国)にて現地の就労者たちが不当な待遇(劣悪な労働環境・条件、極端な低賃金、過酷な長時間労働など)で先進国への輸出製品を作らされ、過剰に安い価格で作物や原料が売買されるなど、先進国(の企業)が発展途上国の人々を搾取することが彼らの貧困問題の大きな要因である、という問題意識から生まれました。
つまりフェアトレードとは、「適切な環境」のもと、発展途上国で作られた製品や作物などが「適正価格」で取引されることで、一時的な取引ではなく長く続く「継続的取引」を目指す貿易方法なのです。
フェアトレードに関する世界的機関とFLJ
フェアトレードに関する世界的機関は3つあります。
そのうちのひとつであるFairtrade International(国際フェアトレードラベル機構、FLO)の構成メンバーとして、日本国内ではNPO法人Fairtrade Japan(フェアトレードジャパン、FLJ)が国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業、フェアトレードの教育啓発活動などを行っています。
- 製品につけられる「国際フェアトレード認証ラベル」
- 団体(事業活動)につけられる「WFTO認証ラベル」
【フェアトレードに関する世界的機関】
・Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構、FLO)1997年発足。本部はドイツ。製品に対しての認証ラベルを発行する。
・World Fair Trade Organization(世界フェアトレード機関、WFTO)1989年発足。本部はアメリカ。団体に対しての認証ラベルを発行する。各製品に関しては別途認証ラベルの取得が必要。
・European Fair Trade Association(ヨーロッパフェアトレード協会、EFTA)1987年発足。欧州8か国をベースにしている9つの輸入・小売業者で構成されている。
国際フェアトレードラベル機構(FLO)の働き
たとえば日本のスーパーマーケットでもよく見られるバナナなどの果物。非常に安い価格で売られていると消費者としてはお得な気分になりがちですが、それらの安い作物や製品にも、当然ながら現地には生産者がいます。
しかし製品の価格が安ければ安いほど、大元の生産者たちに支払われる賃金も低く、環境も劣悪なことが多いことは容易に想像できます。
また製造単価を下げるためには、地球環境や作物の質に配慮した生産方法が取られていない可能性も高いのです。
そこで国際フェアトレードラベル機構(FLO)は、「経済的基準」「社会的基準」「環境的基準」の3つの基準を設け、原料の生産から製品完成までの全過程を定期的に監査します。
■経済的基準
フェアトレード最低価格の保証
フェアトレード・プレミアムの支払い
長期的な取引の促進
必要に応じた前払いの保証など■社会的基準
安全な労働環境
民主的な運営
差別の禁止
児童労働・強制労働の禁止など■環境的基準
農薬・薬品の使用削減と適正使用
有機栽培の奨励
土壌・水源・生物多様性の保全
遺伝子組み換え品の禁止など出典:国際フェアトレードラベル機構公式ホームページより
以上の監査を通過してフェアトレード認証を受けた製品には「フェアトレード認証製品」の証として、「国際フェアトレード認証ラベル」がつけられています。
なおこのフェアトレード認証ラベルを広める運動を「フェアトレードラベル運動」と言います。
世界フェアトレード機関(WFTO)の働き
手工芸品を中心としたフェアトレード認証は世界フェアトレード機関(生産者と輸入国のフェアトレード団体が加盟)が担っています。
生産者への公正な賃金などの労働条件、透明性、環境への配慮、男女平等、児童就労の排除など、すべての過程においてフェアトレードの指針が守られているか、厳しく監査されています。
このようにFLOやWFTOでフェアトレード認定を受けた製品は、それぞれが有するフェアトレードラベルをつけることができます。
日本国内でも、コーヒーや紅茶、カカオ製品(チョコレートなど)やワイン、果物などの食品をはじめ、食品以外の製品にもフェアトレード認証ラベルがつけられているモノが、大手スーパーマーケットや輸入食品店、アパレル雑貨店などで販売されているのを目にする機会が増えていますよ!
フェアトレードタウンって何?
「フェアトレードタウン」とはフェアトレードを応援している市町村や都道府県などの自治体のこと。
フェアトレードタウンとして認定を受けるには、地域住民から企業、小売店、学校、行政などが一丸となってフェアトレードを広めるべく活動を行い、地域社会へフェアトレードを浸透させる必要があります。
2000年4月に誕生したフェアトレードタウンの第一号は、イギリスのガースタングという小さな町。フェアトレードタウン運動を発案したブルース・クローザー氏の地元です。
2018年現在、ロンドン、パリ、ローマなどの首都を含む世界30カ国、2,000以上のフェアトレードタウンが存在します。
日本では2011年に熊本市が日本初のフェアトレードタウンとなり、2014年には熊本市で第8回フェアトレードタウン国際会議が開催されました。その後2015年に名古屋市、2016年に逗子市、2017年に浜松市が認定されています。
※日本でフェアトレードタウン推進活動を行っている団体は「一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム」(Fair Trade Forum Japan)です。
フェアトレードは消費者ひとりひとりの意識改革から!
日本でも広がりを見せているフェアトレードに関わる運動。しかし地域全体がフェアトレード活動を活性化させるには、まずは個人個人の意識改革が大切です。
世界中でフェアトレードが当たり前となるように、何気なく手にとったモノがフェアトレード認証を受けているかどうか、チェックすることを習慣付けることから始めてみてはいかがでしょうか。
※ラベル認証にかかる費用や時間的な問題により、フェアトレード認証ラベルをつけていないが、フェアトレード製品であるモノもあります。そのため生産者・販売者の企業理念や実際の社会活動などから、消費者が判断することも重要です。
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■コーヒー産業にまつわる問題について詳しくは、こちらの記事でご紹介しています。
⇒『フェアトレードとコーヒーの真実|コーヒー生産者の実情とフェアトレード認証コーヒーの重要性』
■児童労働、フェアトレードコーヒーブランドについては、こちらの記事でご紹介しています。
⇒『フェアトレードコーヒーブランド6選|児童労働とコーヒー豆にまつわる話とフェアトレードを選ぶ理由』
■カカオ農園での児童労働問題、フェアトレードチョコレートブランドについては、こちらの記事でご紹介しています。
⇒『フェアトレードチョコレートブランド11選|カカオ農園での児童労働問題に取り組むフェアトレード企業紹介!』