2020年12月中国における化粧品の動物実験に関する法改正について追記【クルエルティーフリー(クルーエルティーフリー)とは?動物実験ってなに?】化粧品の原料や製品を製造する過程でウサギやモルモットを使った動物実験が行われている!?EUをはじめ世界各国で動物実験禁止・廃止の動きが出ていることをご存じですか?日本国内での動物実験に対する法案は?リーピングバニー認証とクルエルティーフリーの関係、クルエルティーフリーなブランドなどの情報をまとめました!
10月4日は何の日かご存じですか? 実は10月4日は「世界動物の日(World Animal Day)」――1931年イタリアのフィレンツェで開催された「国際動物保護会議」にて制定された、歴史ある日なのです。
※10月4日:元々キリスト教における「アッシジのフランチェスコ(フランシスコ)の聖名祝日」。アッシジのフランチェスコはフランチェスコ(フランシスコ)会の創設者であり、中世イタリアの著名な聖人。あらゆる創造物(動物、人間)は神の前では平等と説いた。
そして2018年10月4日、グローバルコスメティックスブランドの「THE BODY SHOP(ザボディショップ)」と国際的非営利組織「Cruelty Free International(クルエルティーフリーインターナショナル)」が、アメリカのニューヨーク市にある国連本部に、あることに関する、世界中から15か月間で集まった830万人もの署名を提出しました。
それは「全世界で化粧品の動物実験を永遠に禁止するための国際条例の執行」を求める署名。
ザボディショップとクルエルティーフリーインターナショナルは、1989年にパートナーシップを結び、30年以上にわたって「化粧品および原料の製造過程における動物実験反対・禁止」活動を行っています!
そこでここでは、「クルエルティーフリーってなに?」「化粧品に動物実験って必要なの?」といった疑問にお答えし、世界的な動物実験禁止の動きについてご紹介します。
※クルエルティーフリーは「クルーエルティーフリー」と表記されることもあります。英語の発音をカタカナ表記しているため若干異なりますが、同じ言葉を指しています。
Contents
クルエルティーフリーとは
冒頭でもご紹介した言葉「クルエルティーフリー(Cruelty Free)」とはどのような意味なのか、まずはご説明します。
直訳すると「cruelty(クルエルティー)」とは「残酷、残虐」、「free(フリー)」は「〇〇の(が)ない、免れる」という意味。
そのため「クルエルティーフリー(Cruelty Free)」は「残酷さの(が)ない」となり、転じて「動物実験していない」「動物を殺傷していない」という意味で使用されています。
つまり先ほどご紹介した国際的な非営利組織「Cruelty Free International(クルエルティーフリーインターナショナル、略してCFI)」は、「動物実験廃止を求める国際団体」と訳すことができます。
なお日本では「NPO法人 JAVA(Japan Anti-Vivisection Association、動物実験の廃止を求める会)」が動物愛護法改正や動物実験反対に向けて、同様の活動を行っています。
※Anti =非、Vivisection=生体解剖
動物実験と化粧品の関係
ではどうして化粧品と動物実験に関係があるのでしょうか。
あまり意識していない方が多いかもしれませんが、「クルエルティーフリー」の企業やブランド、製品でない場合、実は化粧品の成分の原料や化粧品自体の製造過程において、ウサギやマウス、モルモット、ラットといった動物たちが実験台となっている可能性があります。
この実験とは、成分に毒性がないか、塗布した際にどのような影響が起こるのか、といった毒性試験を指し、実験終了後、動物たちは殺処分されています。
JAVAの公式サイトによると、たとえば「眼刺激性試験」の場合、拘束したウサギの目に試験物質を点眼し、角膜の変性などを調べます。麻酔なしで数日間経過観察されるため、あまりの痛みに暴れて首の骨を折って死ぬこともあるそうです。当然実験後は殺処分されます。
そのほか、「皮膚刺激性試験」「急性毒性試験」「光毒性試験」など、幾種類もの見る・聞くに堪えない動物実験が存在しているのです。
動物実験の信ぴょう性
さらに驚くべき事実として、この動物実験の結果は、人体への影響を図るにはあまり参考にならないケースが多々ある、という点が問題視されています。
たとえば先述したウサギの目を使っての「眼刺激性試験」の場合、ウサギの目の構造や涙の量などはヒトのとは異なり、さらには試験結果自体も研究室によってばらつきがあるとのこと。
他の動物実験に関しても、同様に「信ぴょう性に欠ける」と指摘されています。
世界における動物実験禁止の動き
動物実験反対運動が早くから行われていたEU(欧州連合)では、1991年に“ECVAM”(動物実験代替え法のバリデーション(妥当性確認)と公的認知を推進する公的機関)を設置。
2003年には「EU化粧品指令第7次改正」(代替法がある場合に動物実験を実施した原料または組み合わせた化粧品と最終処方を施した化粧品の販売禁止、EU域内の動物実験禁止、など)が公布、2013年に施行されました。
2018年現在EUでは「すべての化粧品の動物実験およびEU域外で動物実験された製品の販売禁止」となっています。
また2018年9月28日、アメリカのカリフォルニア州議会は「動物実験を経て製造された化粧品の輸入および販売を禁止」する法案を成立、2020年1月1日より施行します。
※ただしこの法案では、2020年1月1日以前に製造された成分・化粧品は対象外となり、また州法や連邦法で代替法なく動物実験を求められている場合には認められる、180日間の猶予があるなど、例外が発生します。
同様の「動物実験を経て製造された化粧品の輸入および販売の禁止」は世界的に広がりを見せており、インド、イスラエル、ニュージーランド、アイスランド、ノルウェー、グアテマラ、セルビア、スイス、トルコは全面的に禁止を実施。
アメリカやカナダ、オーストラリア、韓国などにおいても動物実験に対する法規制が進められています。
ですが上述したような国々は世界規模で見ればまだまだ少なく、およそ80%の国では化粧品における動物実験禁止を制定していないのが実情です。
なお中国では、2014年より「中国国内製造の化粧品」については、「動物実験の義務付けを解除」しているものの、「中国国内に輸入する化粧品」については、「中国国内での動物実験とそのデータ提出・承認を義務付け」しています。
【2020年12月追記】
Humane Society International (HSI)によると、中国は「ほとんとの化粧品」において、「事前に動物実験をしなくとも化粧品を輸入販売できる」ように法律を改正し、2021年5月1日付で導入する予定です。
この「ほとんどの化粧品」と言う部分は、現時点では「シャンプー、チーク、マスカラ、香水などの輸入された日用化粧品」を指し、該当しない化粧品カテゴリー(ニキビ治療薬やエイジングケア製品などの「特殊化粧品」)に関しては依然として動物実験が必要です。
日本におけるクルエルティーフリー
では日本では、動物実験禁止についてどのようなアクションが採られているのでしょうか。
残念ながら現時点では、文部科学省や厚生労働省など各省庁によって『動物実験などの実施に関する基本指針』は策定されているものの、動物実験は法律的には禁止されていません。
ですが当然ながらEUをはじめとした主要各国で「クルエルティーフリーでない原料や化粧品販売の禁止」が国際協定の主流となってきている今、日本も企業単位ではなく国として動かざるを得ないのではないでしょうか。
ちなみに日本の化粧品企業では、たとえば資生堂は2013年より化粧品や医薬部外品の動物実験を廃止しています。マンダムやコーセー、花王、ポーラ・オルビスグループ、その他多くの企業(化粧品メーカー、原料製造メーカー)もまた、同様に動物実験廃止や廃止に向けてのアクションを行っています。
Leaping Bunny(リーピングバニー)ってなに?
ではどのような企業・ブランドの化粧品なら、クルエルティーフリーだと一般消費者にも判断できるのでしょうか。
そこで目安となるのが、「Leaping Bunny(リーピングバニー、跳ねているウサギ)」というマーク。
これは「CCIC(Coalition for Consumer Information on Cosmetics(化粧品の消費者情報連合)」という、8つの動物保護団体から形成された団体によって認証される「クルエルティーフリー」の証です。
※審査段階での条件などにより、2018年現在日本の企業で認証されているところはありません。
以下の公式サイト内ページでは、リーピングバニー認証されているブランド(一部認証はないが、クルエルティーフリーと認められるブランド)を検索できます。
■リーピングバニー認証されているブランドを検索できるCCIC公式サイト(英語のみ)http://www.leapingbunny.org/guide/brands
そのほか、たとえばアメリカの動物保護団体「PETA(ペタ)」によるクルエルティーフリー認証もあります。
イギリス発祥のグローバルコスメティックスブランド「LUSH(ラッシュ)」もまた、創設以来動物実験反対活動を行っており、「Lush Prize(ラッシュプライズ)」という、動物実験代替法の研究をしている個人や団体を称える賞を毎年授与しています。
クルエルティーフリーを選ぶ自由を楽しもう!
化粧品の原料や製造過程で動物たちに残酷な実験が行われている――そのような現実にショックを受けた方も多いのではないでしょうか。
しかしあまり一般消費者には知られていないものの、日本でも新成分を配合する際などには、残念ながら動物実験が行われている事実があるのです。
※【補足】アメリカのメイクアップアプリ運営会社Perfect365によるアプリ使用者へのアンケートでは、「36%がクルエルティーフリーの化粧品ブランドからのみ購入する」「使用中の化粧品ブランドが動物実験をしていると知ったら、43%は使用を中止する」という結果が発表されています。
一人では大きな運動を起こすことはなかなか難しいかもしれません。ですがたとえば一消費者として、ステキな化粧品を購入するときには「クルエルティーフリー」なブランドを選ぶ、といったことに気を付けるだけでも、思いのほか大きな波を引き起こす原動力になれる可能性があります!
我慢をするのではなく、自分が気持ちよく過ごすために気持ちの良い製品を選ぶ。これこそが「選択の自由」であり、世界を少しずつ良い方向に進める原動力の小さな、そして大きな一歩になるのかもしれませんね。
■THE BODY SHOPなど、クルエルティーフリーなどの認証を受けているナチュラル・オーガニック系コスメブランド紹介はこちら
⇒『オーガニックコスメ・ナチュラルコスメブランド11選|おすすめメイクアップブランドで肌にも地球にも優しくキレイに!』
■ワンちゃんにも環境にも優しいペットケアブランド紹介はこちら
⇒『犬用シャンプーおすすめ11選|ナチュラル・低刺激で優しい天然成分シャンプーでワンちゃん生活をハッピーに!』
■無添加、ナチュラルなペットフードもご紹介しています!
⇒『無添加ドッグフード・キャットフード6選|ナチュラル・オーガニック系ペットフードで健康ライフを!』
■アニマルウェルフェア(動物福祉)についてはこちらの記事でもご説明しています。
⇒『アニマルウェルフェアとは?重要性と取り組み方:動物たちと共に暮らすために』
【参考サイト】
■THE BODY SHOP(ザボディショップ)公式サイト内の動物実験反対活動に関するページ
http://www.the-body-shop.co.jp/commitment/against-animal-testing.html(日本語版サイト)
https://www.thebodyshop.com/en-us/about-us/against-animal-testing(英語版サイト)
■Cruelty Free International(クルエルティーフリーインターナショナル)公式サイト(英語のみ)
http://www.crueltyfreeinternational.org/
■JAVA(Japan Anti-Vivisection Association、動物実験の廃止を求める会)公式サイト
http://www.java-animal.org/
■文部科学省HP『研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針』
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06060904.htm
■欧州議会のニュースリリースサイト(英語のみ)
“Why MEPs want a global ban on animal testing for cosmetics”(欧州議会議員が化粧品における動物実験の世界的禁止を求める理由)
http://www.europarl.europa.eu/news/en/headlines/society/20180216STO98005/why-meps-want-a-global-ban-on-animal-testing-for-cosmetics
■資生堂の「動物実験と代替法に対する取り組み」についての公式サイトページ
https://www.shiseidogroup.jp/sustainability/consumer/experiment/
■認定NPO法人アニマルライツセンター公式サイトの「動物実験に関する化粧品カテゴリー」ページ
http://www.arcj.org/animals/animaltesting/1/contents_type=135
■Perfect365のクルエルティーフリーに関するアンケート結果紹介ページ(英語のみ)
https://www.perfect365.com/blog/2017/05/15/why-arent-all-cosmetics-brands-cruelty-free/