【ヘアドネーションで医療用ウィッグを子供たちに贈る】ヘアドネーションとは髪の毛を寄付すること。ボランティア、チャリティ活動「ヘアドネーション(hair donation)」の活動団体、毛髪を寄付する方法のお約束事・ルールなどについてまとめました。
「ヘアドネーション」という言葉を聞いて、その意味がピンっとくる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。「ヘアドネーション」とは、英語では“hair donation”と書きます。“hair”は「髪の毛」、“donation”は「寄付」という意味です、
つまり「ヘアドネーション」とは、「髪の毛を寄付する」こと!
とはいえ、「髪の毛を寄付するってどういうこと?」「髪の毛で寄付ができるの?」と不思議に思うかもしれませんね。
残念ながらまだまだあまり一般的に知られていない髪の毛の寄付「ヘアドネーション」。
そこでここでは、ヘアドネーションとはどういう目的で行われるモノなのか、日本や海外ではどのような組織が行っているのか、ヘアドネーションを行う際の注意点などをまとめました!
Contents
どうして髪の毛を寄付するの?
冒頭でご説明したように、「ヘアドネーション」とは、「髪の毛を寄付すること」を指します。
ではその寄付された髪の毛はどうなると思われますか?――病気などによって髪の毛をなくしてしまった子供たちの「医療用ウィッグ(かつら)」として生まれ変わるのです!
無毛症(乏毛症)・脱毛症、小児がん、白血病など、病気や病気の治療過程(放射線治療や抗ガン治療など)における副作用、事故などが原因で髪の毛が生えない・抜けてしまった子供たちのなかには、髪がないことによって周囲から偏見の目で見られたり、心無い言葉や態度でいじめられたり傷つけられたり、子供自身が精神的ストレスやコンプレックスを持ってしまったり……。
残念なことですが、髪の毛がないことによって社会から疎外されていると感じ、学校や外の世界になじめずにいる子供たちが存在することは否めません。
本来なら髪の毛があろうがなかろうが、そんなことは子供の内面とは全く関係ないはずなのに……。
ですがやはり、髪の毛が子供の社会生活のあり方、また気持ちのあり方を大きく左右するといっても過言ではないのも事実なのです。
一般的に販売されている医療用ウィッグは、比較的安価なモノでも5、6万円以上かかり、化繊・アクリル製のため、すぐにウィッグであることが識別できてしまいます。
しかし品質の良い人毛のウィッグ、しかも子供の頭の大きさに合わせたフルオーダーでは何十万円もかかってしまうため、誰もが購入できる代物ではありません。
そこで生まれたのが「ヘアドネーション」という活動。寄付された髪の毛を使用することで、このような病気の子供たちに人毛のウィッグを「無償」で渡すことができ、彼らが少しでも気持ちよく日常生活を送れるお手伝いをすることができるのです。
ヘアドネーションってどうやってするの?
では実際にヘアドネーションをしたい場合には、どうすればよいのでしょうか。
日本では2009年に「特定非営利活動法人(NPO法人)ジャパンへアドネーション&チャリティJapan Hair Donation & Charity」(略してJHD&C、ジャーダック)が設立されており、ヘアドネーションによる医療用フルオーダーウィッグ「Onewig」の無償提供を行っています。
※ちなみにたとえばアメリカでは、2007年から“Locks of Love”というチャリティ団体がヘアドネーション活動を行っています。
ジャーダックにカットした髪の毛を寄付する方法は2種類あります――1つ目は「カットされた髪を自分で、郵送でジャーダックに送る」方法。2つ目は「ドネーションサロン(賛同サロン)でカットをし、サロンから送ってもらう」方法です。
とはいえ、単に髪の毛を適当に切って封筒にいれて送り付ける、という無謀な方法でOKという訳ではありません(当然ですよね)!
そこで次に、ジャーダックが定めているヘアドネーションをする際のお約束事を挙げます。
※ジャーダックのほかにもヘアドネーション活動を行っている団体はあり、それぞれに少し異なる規定があるのですが、ここでは代表例としてジャーダックに髪の毛を寄付する際の条件をまとめました。
ヘアドネーションをする際のお約束事(ジャーダックの場合)
1.31cm以上の長さがあること(31cm未満でもムダにはならないとのこと)。
2.引っ張ると切れるほど強いダメージがないこと(パーマ、カラー、ブリーチOK)。
3.髪質(くせ毛、白髪など)、年齢、性別、国籍など問わず。
4.「完全に」乾いている髪の毛であること。
1の「31cm以上」とは、ウィッグを作る際に最低限必要な長さ、とのこと。切り口から毛先までの長さを考えた場合、やはりこの長さが必要なのですね。
お子さんのなかにはロングヘアのウィッグを希望される方もいるため、「50㎝以上」の髪の毛は特に不足しているようです。もしもロングへアをばっさりと切られるご予定があるなら、ぜひ子供たちのウィッグ製作にご協力して頂ければと思います!
また4の「完全に乾いている」というのは、やはり髪の毛が湿っているとカビや雑菌、ニオイの問題が起きるから。そのため髪の毛がしっかりと乾いているかご確認の上、ご送付くださいね!
髪の毛の切り方についてのお約束事
ここまで読んで頂いた方のなかには、「でも髪の毛って切ったらバラバラになっているけど、袋に適当に詰めればいいの?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。
ですがバラバラになってしまっている髪の毛をウィッグにするのは、考えただけでも難しいですよね。実際、バラバラになって届けられた毛髪は、残念ながら「廃棄処分」になってしまうとのこと。
つまり、ヘアドネーションをするには、髪の切り方にもお約束事があるのです!
寄付する髪の毛のカット方法
ウィッグは、髪の毛の「切り口側」をウィッグの「根元」にして製作されます。
そのため切り口をそろえておくために、(寄付したい長さに合わせて)切り口の1~2cmのところを輪ゴム・ヘアゴムでしっかりと束ねてから、カットする必要があります!
この時、髪の毛を濡らしてカットしてしまうと(しつこいようですが)カビや雑菌が繁殖してしまうため、絶対に濡らさずに乾いた状態でカットするようにしましょう!
※細かなカット方法のルールについてはジャーダック公式HPに掲載されていますので、ぜひご参考になさってください。
ドネーションサロン(理美容室)てどこ?
個人ではなく、「ドネーションサロン(賛同サロン)」と呼ばれる理美容室をご利用になりたい場合も、ジャーダック公式HPにてお近くのドネーションサロンを調べることができます。
ドネーションサロンではない理美容室でも、もしもカット方法などにご理解頂ければお願いできるかもしれません。しかしやはり通常のカット方法などとは異なるため、できればドネーションサロンで寄付用のカットをされるほうが良いかもしれませんね。
髪の毛から始まるボランティア
髪の毛を寄付することができる「ヘアドネーション」という活動――最近メディアなどでチラホラと情報を見かけるようになったものの、まだまだ「ヘアドネーションってなに?」という方のほうが多いのが現状です。
ですがそのようなボランティアの方法がある!ということを知るだけでも、意識の持ち方が変わるのではないでしょうか。
「ボランティア」「チャリティ」という言葉を難しく考える必要はありません! 日常生活の延長線上で出来ることを無理なく行うことで、子供たちの笑顔がほんの少しでも増えれば……、という気持ちで興味を持つことから始めてみては?
国内外で活動されているヘアドネーションについて、ぜひ一度ご家族やお友達たちとお話してみてくださいね。