近年「マイボトル」を持ち歩くことがエシカルなライフスタイルとして広がっています。背景には、世界的に深刻化するプラスチックごみ問題があります。日本では年間200億本以上のペットボトルが消費され、その多くが廃棄されるかリサイクルの対象となりますが、完全に循環できているわけではありません。
環境省の調査によれば、海洋に流出したプラスチックはマイクロプラスチックとなり、海洋生態系や人間の食卓にも影響を及ぼしていることが報告されています。
こうした課題を受け、マイボトルを使うことは「節約」や「便利さ」を超えて、持続可能な社会への小さな一歩として注目されています。ただし、選び方を間違えると「使いにくくて続かない」「結局すぐ買い替えてしまう」といったことになりかねません。
だからこそ、保温・保冷性能や使いやすさといった機能面やデザイン性に加えて、素材の安全性や企業の姿勢、社会貢献の仕組み、長期的に使える工夫に目を向けることが大切です。
本記事では、BPAフリーやリサイクル素材の採用、B Corpなどの認証取得、売上の一部を環境保護に寄付する活動などを軸に「エシカルなマイボトル」10ブランドを厳選してご紹介します。毎日の飲み物習慣を、地球に優しいアクションにつなげてみませんか。
目次
選び方のポイント

素材の安全性
マイボトルを探すとき、多くの人がまずチェックするのは「保温・保冷力」や「デザイン」かもしれません。しかし、エシカルな観点から選ぶときは、もう一歩踏み込んで次のポイントを意識してみましょう。
まず大切なのは素材の安全性です。従来のプラスチック製品に含まれることがあるBPAやBPSは、人体への影響が懸念されており、特に飲み物に直接触れる部分では避けたい成分です。食品グレードのステンレスやシリコーンを採用し、「BPAフリー」を明記しているブランドを選ぶと安心です。
第三者認証や気候配慮
次に注目したいのは認証や気候配慮の観点。B Corp認証やClimate Neutral認証を受けている企業は、環境だけでなく労働環境や社会全体への責任を果たしている証拠。製造過程での二酸化炭素排出の計測・削減・オフセットに取り組んでいるブランドも増えています。こうした取り組みは製品そのものの価値を超え、企業全体の姿勢を反映しているといえるでしょう。
社会的インパクト
さらに、社会的インパクトも重要な選定基準です。売上の一部を環境保護団体に寄付したり、海洋プラスチック回収や森林保全を支援しているブランドを選べば、日常的な使用がそのまま社会貢献につながります。自分が使っている1本が「環境問題の解決に役立っている」という実感が、長く使い続けるモチベーションにもなります。
長期使用を可能にする設計
最後に、長期使用を可能にする設計かどうかを見てください。交換用のリッドやパッキンが用意されているか、分解して洗浄しやすいか、保証の有無は、製品寿命を大きく左右します。気に入った1本を長く愛用できることは、資源の節約だけでなく経済的にもメリットがあります。また、国内産材・間伐材を使った「地域性のある製品」を選ぶことは、森林管理や地域経済の持続にもつながります。
エシカルなマイボトル10選
1. MiiR(ミアー)
・商品名:MiiR Wide Mouth / CLIMATE+ 系列
・設立された場所:アメリカ(シアトル)
・エシカル/ナチュラルなポイント:B Corp・Climate Neutral、Give Code™による寄付の可視化、BPAフリー
アメリカ・シアトル発の MiiR は、プロダクトコード「Give Code™」から寄付先やプロジェクトの詳細を追跡できる“透明性の高い社会貢献”が特徴のボトルブランドです。
錆びづらさで定評の18-8ステンレスを採用し、BPA フリーで、粉体塗装の耐久コーティングや結露しにくい真空断熱構造など日常使いの堅牢性も備えています。企業として B Corp/Climate Neutral といった第三者認証の取得を進め、サプライチェーン全体の排出量把握・削減/オフセットを継続的に実施。特に CLIMATE+ ラインは、製造時のステンレス使用量を削減しつつカーボンオフセットすることで、クライメートポジティブを志向する設計が魅力です。
飲み口やリッドはシーン別に使い分けができ、コーヒー用途の蓋・広口の保冷用など拡張性も高い。国内では正規輸入での自社EC、大手ECで展開されており、ギフトからビジネスユースまで幅広いラインナップが揃っています。
2. Ocean Bottle(オーシャンボトル)
・商品名:Ocean Bottle (Insulated / 500ml ほか)
・設立された場所:イギリス(ロンドン)
・エシカル/ナチュラルなポイント:1本購入ごとに海洋プラ回収を支援、BPAフリー、長期保証、パーツ供給
海洋プラスチック課題の解決をミッションに掲げ、ボトル 1 本の購入につき相当量の海洋プラスチック回収を資金面から支援する仕組みで国際的に注目されるブランド。回収ネットワークの整備に寄与し、現地のインフォーマルセクターに対する公正な報酬支払いなど、社会面のインパクトも明確に可視化している点が特徴です。
本体はリサイクル素材を含むステンレスに加え、BPA フリーのパーツ構成。広口の飲みやすさ、分解洗浄のしやすさ、コーヒー用/水分補給用など多用途を想定した蓋設計など、実用性も高水準です。10 年レベルの長期保証やパーツ提供により、「買って終わり」ではなく継続的に使い続けるモデルを目指しているのもエシカルな姿勢と言えます。
国内では正規取り扱いによる自社 EC/大手 EC を通じて購入可能。環境への直接的な寄与とプロダクト耐久性を両立させたい人に向く選択肢です。
3. 森のマイボトル(My Bottle in the Forest)
・商品名:森のマイボトル(木質複合ボトル)
・設立された場所:日本(国内)
・エシカル/ナチュラルなポイント:国産間伐材活用、BPA・フタル酸エステル不使用、国内生産
日本の森林資源活用をテーマに、国産の間伐材由来の木質素材をボトル成形に活用する“Made in Japan”のプロジェクト。
使用する木粉比率を高めつつ、耐久性・安全性を担保する複合成形で、手触りや温かみのある質感と軽量性を両立しています。間伐材の活用は、林地の健全化(光環境の改善・土壌流出抑制)にもつながり、単なる代替素材に留まらない地域循環型の価値を創出。飲み口・パッキンなどは食品接触基準に適合する素材を使用し、BPA/フタル酸エステル不使用設計を徹底しています。
国産素材×国内生産×森林循環の三位一体で環境負荷を抑えつつ、日常的な携行に配慮したサイズ・容量・重量バランスも良好。自社 EC や国内プラットフォーム EC で入手可能で、「里山保全に資するモノ選び」を実践したいユーザーに響く一本です。
4. Klean Kanteen(クリーンカンティーン)
・商品名:TKPro / Wide/ Classic 系列
・設立された場所:アメリカ(カリフォルニア州チコ)
・エシカル/ナチュラルなポイント:B Corp・Climate Neutral、PCRステンレス推進、BPAフリー、オールステンレス設計(モデルによる)
リユースボトルの黎明期から環境配慮を牽引してきた定番ブランド。B Corp/Climate Neutral 認証を取得し、温室効果ガス排出の計測・削減・オフセットを制度的に運用しています。近年は ポストコンシューマー・リサイクル(PCR)ステンレスの高比率化を進め、素材段階での CO₂ 排出削減にコミット。
TKPro のようにプラスチックを一切使わない“オールステンレス”や、キャップごと分解洗浄しやすい実用設計など、「長く清潔に使い続けられる」工夫が随所に見られます。BPA フリーはもちろん、粉体塗装の耐久コーティングや握りやすい形状など日常使用の細部も丁寧。
日本国内の正規代理店経由などECの流通も安定しており、交換アクセサリーや用途別キャップで拡張も可能です。
5. Hydro Flask(ハイドロフラスク)
・商品名:Standard / Wide Mouth 系列(ほか)
・設立された場所:アメリカ(オレゴン州ベンド)
・エシカル/ナチュラルなポイント:「Parks For All」寄付プログラム、BPAフリー、耐久粉体塗装、豊富な純正アクセサリ
高い保温・保冷性能で知られつつ、「Parks For All」プログラムを通じて自然保護やアウトドアアクセスの公平性に寄与する寄付・助成を継続するブランド。
ボトルは 18-8ステンレス、BPAフリー、独自の耐久粉体塗装で滑りにくく剥がれにくい仕上げ。サイズ・カラー・口径・リッドバリエーションが非常に豊富で、長期間の“使い回し”を前提とした設計思想が強いのも特長です。
国内では正規流通が確立しており、主要 EC での購入、純正アクセサリの入手、アフターサポートも比較的容易。エシカルな寄付モデルを持ち、かつ日常からアウトドアまで一貫して使い倒せる“ロングユース”の定番として評価できます。
6. que Factory(キューファクトリー/que Bottle)
・商品名:que Bottle(折りたたみ式シリコーンボトル)
・設立された場所:アメリカ(サンフランシスコ)
・エシカル/ナチュラルなポイント:BPA・フタル酸不使用、食品グレードシリコーン、携帯性による使い捨て抑制
折りたたみ式のシリコーンボトルで知られる que は、携帯性とリユースを同時に高めるアプローチがユニーク。食品用グレードのシリコーン(BPA、フタル酸エステル不使用)を採用し、飲み口やリング部分はリサイクル可能な素材を選択
。小さく畳んで携行できることで“持ち歩かないから買い捨て”の動機を減らすデザインが本質的にサステナブルです。通勤・通学・フェス・トレイルなど“ペットボトルを買いがち”なシーンでもマイボトルを常備でき、使用頻度を自然に増やせる点が魅力。国内正規販売があり、主要 EC でも在庫が安定。容量・カラーも多彩で、既存のステンレスボトルと使い分けることでリユース実践の幅が広がります。
7. エンバランス(Embalance)
・商品名:エンバランス マイボトル(各種)
・設立された場所:日本(国内)
・エシカル/ナチュラルなポイント:BPAフリー、独自素材で鮮度保持、国内サポート・長期使用志向
エンバランスは、日本のメーカーが開発した「生鮮食品の酸化を遅らせる特殊素材」をボトルの内面に採用した革新的なブランドです。素材はBPAフリーの安全設計に加え、ステンレスボトル内部の素材に「エンバランス」が組み込まれており、果汁やスープの風味や栄養を従来より長く保持できることが実証されています。
数回の継続使用でも味の劣化が少なく、冷蔵・冷凍のいずれにも対応可能。またボトル本体は分解して洗える構造で、衛生管理とメンテナンス性にも配慮。部品交換や修理対応も国内で安心して利用でき、自社ECや楽天/Amazonなど主要ECで購入可能です。“何を入れても美味しい”機能性を、環境的価値と掛け合わせて使い続けたい方に向いたブランドです。
8. Stojo(ストージョ) マイボトル
・商品名:Stojo Bottle / Cup(折りたたみ)
・設立された場所:アメリカ(ニューヨーク)
・エシカル/ナチュラルなポイント:BPA・BPS・フタル酸不使用、食品グレードシリコーン、フラットに畳める携帯性
Stojo(ストージョ)は、米NY発の折りたたみ式シリコーンボトルで、「使わないときはバッグの中に入れっぱなしでもかさばらない」という圧倒的な携帯性が最大の特長です。
素材は全てBPA/BPS/フタル酸エステル不使用の食品安全設計で、内側のシリコーンは再生可能な素材にアップグレード中。使用後は丸めるだけで平らな状態にでき、洗浄も完全分解できる構造なので、外出先でのちょい飲みや自販機利用時でもワンステップの使いやすさがあります。
ブランド全体がプラスチックごみ削減のメッセージを強く打ち出し、購入者にはリユースの重要性を自然に感じさせる体験を提供。日本では公式輸入販売店、自社EC、楽天やAmazonなど主要ECでも販売されており、「持たない理由をなくす」軽快さを重視する人にぴったりの選択肢です。
9. Black+Blum(ブラック+ブルーム)
・商品名:Black+Blum Stainless Water Bottle(ほか)
・設立された場所:イギリス(ロンドン)
・エシカル/ナチュラルなポイント:BPAフリー、非毒性パウダーコート、分解洗浄可、長寿命設計
英国ブランドBlack+Blumは、日常品を美しくシンプルに仕上げるデザインフィロソフィーが特徴で、そのマイボトルも例外ではありません。
ステンレス製のボディには、環境に配慮した非毒性パウダーコーティングが施され、耐久性と意匠性を兼ね備えています。一部にはインサート式フィルター(ティーストレーナー)を内蔵し、お茶やハーブティーの抽出にも適応。素材はもちろんBPAフリーで、全ての部品が分解でき、交換しやすい仕様。
プラスチック製品に頼らず長期間使用することが前提に設計されており、結果としてゼロウェイストな選択にもつながります。国内では正規代理店、自社EC、Amazon/楽天でも購入可能。デザインと機能、機構の合理性を大切にする人に愛されるブランドです。
10. Sttoke(ストーク)
・商品名:Sttoke Ceramic Reusable / Travel Cup
・設立された場所:オーストラリア(メルボルン)
・エシカル/ナチュラルなポイント:BPAフリー、セラミック内面で金属味軽減、分解洗浄可、梱包のリサイクル配慮
Sttoke(オーストラリア発)のボトルは、セラミックコーティングが内部ステンレスに施されており、金属味やニオイ移りを防止し、“コーヒーやお茶の味を忠実に伝える”本格的な飲料体験を目指しています。
素材は食品グレードのステンレス製でBPAフリー。セラミック層は医療用にも使われる耐久性が高く、安全性が高い設計。構造は分解して洗浄できるカップ型底蓋仕様で、日常のメンテナンスも容易。企業として製品のカーボンフットプリントの可視化・削減にコミットしている点や、リサイクル可能な梱包資材の採用なども見逃せません。
日本国内では正規輸入代理店やセレクトショップで購入可能。味と体験を大切にする本格派にとって、味覚も満足させる一品です。
まとめ
マイボトルは日常に欠かせないアイテムですが、その選び方次第で環境や社会へのインパクトは大きく変わります。今回ご紹介したブランドは、いずれも保温・保冷性能やデザイン性といった基本機能に加えて、素材の安心感、企業の透明性、社会的インパクト、長期的な使用設計といったエシカルな観点からご紹介しました。
自分のライフスタイルに合った一本を見つけて、エシカルなマイボトルライフを始めてみませんか。






















