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へちまスポンジやセルローススポンジは、植物由来の天然素材で作られたキッチン用スポンジです。一般的なウレタン製スポンジはプラスチック製で使用中にすり減って微細な破片(マイクロプラスチック)が発生し、排水を通じて環境中へ流出してしまいます。事実、日本の近海では海洋中のマイクロプラスチック濃度が世界平均の30倍近くにも上ることが環境省の調査で明らかになっています。
また、プラスチックごみ問題に詳しい高田秀重氏(東京農工大)は
食器洗い用スポンジもプラスチック製なので、マイクロプラスチック発生源になる。セルロース製や木綿など自然素材のスポンジに替えるとよい
と指摘しています。こうした観点から、天然へちま繊維やセルロース(植物繊維)でできたスポンジが注目されています。
セルローススポンジは木材パルプや綿などから作られる植物性繊維スポンジで、水を含むと柔らかく膨らみ泡立ちも良いのが特徴です。素材内部に無数の気孔があり高い吸水力を持つため、少量の洗剤でも汚れを落とせる洗浄力があります。また水気を絞ればすぐカラカラに乾く速乾性があり、乾燥が早いことで雑菌繁殖も抑えられて衛生的です。
一方のへちまスポンジ(へちまたわし)はウリ科植物ヘチマの乾燥繊維から作られ、繊維の適度なコシで汚れを絡め取ります。へちま繊維は水やぬるま湯に浸すと柔らかくなり、食器に傷を付けずやさしく洗えるのが利点です。油汚れ以外であれば洗剤なしでも大抵の汚れが落とせるという報告もあり、実際に洗剤をほとんど使わず済むとの声もあります。
さらに天然繊維100%ゆえに使用後は土に埋めれば微生物の力で完全に自然分解し土に還るため、プラスチックごみやマイクロプラスチック汚染を生みません。環境保全の専門機関OECDも、プラスチック汚染削減には製品デザインの革新や環境に優しい代替素材の活用が必要だと指摘しています。英エレン・マッカーサー財団の報告によれば「現状の延長線上では2050年までに海洋中のプラスチック量が魚の量を上回る」とも予測されており、身近な台所用品から脱プラを進める意義は大きいと言えるでしょう。
Contents
メリット&デメリット
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メリット
・洗浄力と環境性能の両立:セルロースやへちま繊維は高い吸水力・適度な摩擦で汚れ落ちが良く、少ない洗剤や水だけで洗浄可能。環境中へ有害なマイクロプラスチックを出さず、使用後は堆肥化・土壌混入で安全に廃棄できます。プラスチック製のように有毒ガスを出すこともなく焼却処分も安心です。
・速乾性で衛生的:セルローススポンジは水切れが非常に良く、絞って置けば翌朝にはカラカラに乾燥します。へちま繊維も通気性が高く乾きが早いため、濡れたまま放置しても雑菌が繁殖しにくいです。
・長持ちして経済的:天然素材スポンジは耐久性にも優れ、使い方次第では数ヶ月使える製品もあります。へちまは3ヶ月以上使えることもあり、繰り返し煮沸消毒して衛生を保ちながら使える商品もあります。
・土に還る究極のエコ:使用済みスポンジは細かく切って庭やコンポストに埋めれば自然に分解し土壌の一部になります。
デメリット
・乾燥時に硬くなる:へちま繊維スポンジは乾くとカチカチに硬くなるため、使う際は十分に水に浸して揉みほぐす必要があります。またセルローススポンジは水を含ませると少しべたっとした感触もあるため、好みが分かれるかもしれません。
・製品ごとの耐久性差:自然素材ゆえに個体差や使用状況による劣化の差があります。セルローススポンジも非常にソフトなため、力の入れすぎや尖った器具洗いには不向きです。
・価格がやや高め:一般的なスポンジより価格は高めですが、長く使えることや環境保全の価値を考えれば妥当とも言えます。
使い方のコツ
初めて使うセルローススポンジは、水またはぬるま湯に浸すと厚みが増して使いやすくなります。へちまスポンジは乾燥時硬いので最初によく水を含ませて揉んで柔らかくしましょう。
普段のお手入れでは、使用後は石けんやお湯できれいに洗い、よく絞ってからシンク脇など風通しの良い場所で乾燥させてください。吊り下げ紐付きの製品はフックに掛けて干すと水切れが良く衛生的です。
気になる場合は熱湯消毒も可能です。天然素材100%のスポンジは煮沸しても変形や劣化が少なく、繰り返し煮沸することで雑菌臭や汚れをリフレッシュできます。
交換時期:汚れ落ちが悪くなったり繊維の崩れが目立ってきたら交換のサインです。使い方にもよりますが、長い場合は3か月ほど使えることも。
可燃ごみとしてすててください。コンポストやお庭がある方は、可能であれば細かく裁断して家庭菜園の堆肥やプランターの土に混ぜ込むと、やがて土壌の栄養に戻ってくれます。
プラごみゼロへ!へちま&セルローススポンジ7選
ここからはmana. ORGANIC LIVING, へちまここち, mr.ECO, エコンフォートハウス, ル・シェンヌ・エ・ル・ロゾー, 日本インソール工業, スコッチ・ブライト(3M), スピカココ, LOOFAH LIFE WORKの9ブランドを詳しくご紹介します。エシカル度・使い心地・価格帯などをチェックしながら、自分にぴったりのスポンジを見つけてくださいね。
1. mana. ORGANIC LIVING
・商品名:自然素材のキッチンスポンジ
・素材:へちま+セルロース(二層構造)
・購入先:公式オンライン/楽天市場
・おすすめポイント:売上1%寄付・へちま面とセルロース面の使い分け・生分解性100%

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へちまと木由来パルプ100%の天然素材でできており、使い終わったら土に埋めれば生分解して土に還るエコ性能も優秀です。
またブランドは売上の1%を環境保護団体に寄付する取り組みも行っており、製品だけでなく企業姿勢からサステナビリティを追求しています。
2. へちまここち
・商品名:天然へちまたわし
・素材:へちま
・購入先:公式オンラインショップ/自然食品店
・おすすめポイント:無農薬国産へちま100%・洗剤なしでも汚れ落ち・3ヶ月以上長持ち

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使用後は水洗いして吊るせばすぐ乾き、衛生的に保てます。メーカーは40年以上へちま栽培から加工・販売まで一貫生産しており、「へちまの良さを次世代に伝えたい」という思いで徹底した無農薬・国産素材にこだわるサステナブル企業です。
3. mr.ECO(ミスターエコ)
・商品名:ヘチマ&セルローススポンジ
・素材:へちま+セルロース
・購入先:輸入代理店公式通販/楽天市場
・おすすめポイント:ヨーロッパ発・再生素材活用・デザイン性◎

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ザラザラしたヘチマ面で焦げつきや頑固な汚れをこすり落とし、柔らかいセルロース面でコップやお皿をやさしく洗う、といった1個で二通りの使い分けができるのが便利なポイント。日本では輸入代理店のワイ・ヨット公式通販や楽天市場で購入できます。
ヘチマもセルロースも水切れが早く乾燥しやすいので衛生的で、煮沸消毒も可能。
mr.ECOはスポンジ素材にセルロース、サイザル麻、へちま、再生PETなど環境に還りやすい・リサイクル素材を積極利用するブランドで、プラスチックに頼らないエシカルな製品づくりとヨーロッパブランドらしい洗練されたパッケージデザインを両立させています。
日常使いしながらおしゃれに環境配慮できる逸品です。
4. エコンフォートハウス
・商品名:セルローススポンジ katakata くま
・素材:セルロース100%
・購入先:公式通販/Amazon/楽天市場
・おすすめポイント:可愛いデザイン・端材活用セルロース・植林寄付付き

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食器洗いにはもちろん、布巾代わりにテーブルの拭き掃除に使ったり、シンクまわりの水滴取りに使うこともできます。
Amazonや楽天市場、公式通販サイトで1個数百円程度で購入可能です。
素材のセルロースは木材パルプ由来であり、エコンフォートハウスでは建材などに使えない端材から採れる繊維素を原料にスポンジを製造しています。
天然素材100%なので使用後は土に埋めれば分解され環境負荷が少なく安心です。
デザイン性と実用性を兼ね備え、日本製・植物由来にこだわったエコンフォートハウスらしいサステナブルなスポンジと言えるでしょう。
5. 日本インソール工業
・商品名:セルロースキッチンスポンジ
・素材:セルロース
・購入先:Amazon/楽天市場
・おすすめポイント:国産・熱湯消毒OK・まとめ買いしやすい価格

ホワイトやグリーンなどのカラーがあり、Amazonや楽天市場で6個セット・12個セットといったまとめ買い用パックが人気です。素材は天然繊維セルロース100%(木質パルプ由来)で、耐熱温度120℃と表示されており熱湯消毒にも対応します。
泡立ちが良く汚れ落ちも上々で、食器を傷つけにくい柔らかな使い心地が特徴です。
たっぷり水を吸ってくれるので洗浄だけでなく台拭き代わりにも使え、トマトソースや油汚れがついても普通のスポンジより落ちやすいとの口コミもあります。
使用後はぎゅっと絞るだけで速く乾燥し、水気が残りにくいので雑菌の繁殖を抑え衛生的に使い続けられます。
セルローススポンジ自体、不要になれば可燃ごみとして焼却しても有毒ガスが出ず土に還る素材です。
日本インソール工業の製品はリーズナブルな価格帯で大量購入しやすく、日常的にプラスチック削減を実践したい消費者が安心して選べるエコスポンジと言えるでしょう。
6. スコッチ・ブライト(3M)
・商品名:グリーナークリーン セルローススポンジたわし
・素材:セルロース+再生ポリエステル
・購入先:全国スーパー/Amazon/楽天市場
・おすすめポイント:大手ブランドの安心品質・ノンスクラッチ・再生素材活用

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従来品と同等の洗浄力を維持しながら、新たな石油由来プラスチックを極力使わない設計になっています。
不織布面に研磨粒子は含まれないためガラスやフッ素加工品を傷つけにくく、コゲ汚れ等も程よく落とせるノンスクラッチ仕様です。
全国のホームセンターやAmazonなどで購入でき、価格も数百円程度と手頃。
パッケージも再生紙を使用する徹底ぶりで、さすが大手メーカーならではの配慮が行き届いています。
身近なお店で入手しやすく、誰でも始められるプラごみ削減として評価が高いスポンジです。
7. スピカココ
・商品名:キッチンスポンジ
・素材:セルロース
・購入先:自然食品店/Amazon/楽天市場
・おすすめポイント:敏感肌に優しい・煮沸消毒OK・手頃価格

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こちらはしなやかで微細な植物繊維から作られており、厚さ約4cmと厚みが十分で握りやすいのが特徴です。
使い始めは硬めですが、水に浸すと柔らかくなりどんな形の食器にもフィットして洗いやすくなります。
煮沸消毒が可能(100℃のお湯で殺菌OK)なので清潔に長く使え、実際に「油汚れもすぐ落ちて長持ちする」「ずっと白いままで清潔感が続く」といったユーザーレビューも多数あります。2個セットでAmazonなどで購入でき、価格は700円前後。素材は木のパルプ由来で環境負荷が小さく、使い終わったスポンジは土に埋めれば分解されます。
スピカココ自身、「アトピーや敏感肌の人にも安心な製品を」と30年以上前から無添加・植物性の洗剤づくりに取り組んできたメーカーで、その延長線上にあるこのスポンジも安心安全かつサステナブルな日用品としておすすめできます。
まとめ
天然素材スポンジへの切り替えは、マイクロプラスチック削減・洗剤使用量の低減・長寿命によるコストカットという利点を兼ね備え、持続可能なライフスタイルを後押しする注目アイテムです。今回ご紹介したへちまここち・mana. ORGANIC LIVING・mr.ECO・エコンフォートハウス・ル・シェンヌ・エ・ル・ロゾー・日本インソール工業・スコッチ・ブライト(3M)・スピカココ・LOOFAH LIFE WORKは、いずれも環境配慮と使い心地を両立し、原料調達からパッケージまでエシカルに設計されています。
まずは気になる素材やデザインから試して、“脱プラ”キッチンを始めてみませんか?毎日の食器洗いが地球にも自分にもやさしい時間へと変わるはずです。