街が少しずつ光に包まれ、「今年のクリスマスツリーは何にしよう?」と考える季節がやってきました。毎年のように買い替える人もいれば、久しぶりに新しいツリーを迎えようと心が弾んでいる人もいるでしょう。
でも、ちょっと立ち止まってみませんか?
あなたが選ぶその一本は、環境に大きな違いを生むかもしれません。私たちがごく自然に飾ってきたクリスマスツリー、実はそれぞれに隠れた“環境への重さ”があるのです。せっかくなら、季節を楽しみながら環境にもやさしいツリー選びができたら素敵ですよね。
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目次
本物 vs 人工ツリー 環境負荷はどちらが大きい?
本物のツリーは木材チップ化や焼却などの方法で廃棄された場合、平均のCO2排出量が約3.5kgで済むものの、埋立地でそのまま放置して自然分解される場合は16kgに増えます。対して人工ツリーは、製造から廃棄までの総量で約40kgものCO2を生み出すと推定されています。
つまり、人工ツリーが“環境的に見合う”存在になるのは、少なくとも12年以上使い続けた場合に限られます。数年ごとに買い替えるなら、本物のツリーより負荷が大きくなるというわけです。
生分解性のツリーと、残り続けるツリー
本物のツリーは生分解性があるため、使用後は堆肥や木材チップとして再利用できるのが強みです。さらには、水中生態系の再生素材として利用されるケースもあります。育っている間はCO2を吸収し、鳥や小動物のすみかにもなるなど、多面的に自然へ貢献してくれる存在です。
とはいえ、商業目的で栽培されるツリーは多くの場合、成熟前に伐採されてしまうため、本来のCO2吸収力を十分に発揮できていないという指摘も見逃せません。
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■ 分解されず残り続ける人工ツリー
人工ツリーはPVC(ポリ塩化ビニル)などの石油由来プラスチックと金属でつくられており、生分解されないうえ、リサイクルも非常に困難です。寿命を迎えれば埋立地に送られ、長い年月にわたって環境負荷を与え続けることになります。
加えて、多くの人工ツリーは海外で製造されており、輸送によるCO2排出量も決して小さくありません。
クリスマスツリーと現代の消費主義
クリスマスツリーはかつて、家族の団らんを象徴する温かい存在でした。しかし近年は、ショッピングモールや商業施設に巨大な装飾として設置され、消費を促す象徴へと変わりつつあります。
この需要の高まりは、ツリーの大量栽培を加速させます。農薬・除草剤・多量の水の使用、外来種植林による生態系の乱れ、土壌の劣化──その裏側には、華やかさとは対照的な負荷が存在します。
私たちが「当たり前」と感じているクリスマスの風景は、実は自然環境に大きなしわ寄せを生んでいるのかもしれません。
どう選べばいい? 今すぐできる、持続可能なクリスマスツリー選び
今年ツリーを新調する予定があるなら、少しだけ視点を変えてみてはどうでしょう。選び方ひとつで、環境への負担は驚くほど変わってきます。
■ 5つのエシカルな選択肢
1.中古の人工ツリーを選ぶ
すでに存在する資源を循環させる、最も負荷の少ない選択肢です。
2.庭や公園の“生きた木”をそのまま飾る
切らなくても立派なツリーになり、自然の姿をそのまま楽しめます。
3.鉢植えの生きたツリーを迎える
使用後は庭に植え替えることもでき、毎年成長を見守れます。
4.切ったツリーを薪として使う
暖房やアウトドアに活用すれば、最後まで役目を果たしてくれます。
5.切り株を鳥の休息所や庭のオブジェにする
小さな生態系づくりに寄与し、暮らしにも温かみが生まれます。
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あなたの一本が、未来の環境を変えていく
クリスマスツリーは冬の寒さのなかで希望を灯す象徴です。
だからこそ、その一本を選ぶときの小さな意識こそが、未来の地球への贈り物になっていきます。
今年、あなたはどんなツリーを選びますか?
その選択が、地球にとってやさしい贈り物になりますように。
※参照
Earth・Org 「Real vs Fake Christmas Tree: Which One Is Better for the Environment?」










