「ソーシャルグッドを、もっと身近に。」を掲げ、持続可能な社会の実現に取り組むグリービズ株式会社。
食を起点とした循環する暮らしを拡げるべく、「ecotasコンポスト」を展開されています。
コンポストと聞くと、家庭菜園の堆肥づくりに使われるイメージがあったりと、お庭があるのが前提に思われますが、「広い庭がなくても、堆肥を使いきれなくても大丈夫」と話す中野さんに、サービス誕生に至った経緯をお聞きしました。
なお、バッグ型コンポストの選び方や、ecotasコンポストを含む各サービスの違いについては、Ethical Leafの別記事でも紹介しています。投入できるもの、サポート、回収サービス、ランニングコストなどを比較したい方は、ぜひあわせてご覧ください。
始めやすくて、続けやすい仕組み

――「ecotasコンポスト」について詳しく教えてください。
中野さん:「ecotasコンポスト」はフェルト生地のバッグ型のコンポストで、大きな特長は「使いやすさ」と「使い切れない堆肥を回収に出せる」という点です。
家の中に置いても気にならないデザインとサイズを追求し、通気性・保温性・保湿性のバランスを考えたフェルト素材のバッグにしました。
広い場所や庭が無くても、マンションなどの省スペースで始められます。
――思ったよりもコンパクトで、デザインもかわいらしいですね。どのようにして使うのでしょうか。
中野さん:初回のご注文ではコンポストバッグ、専用の基材(籾殻くん炭やヤシガラなどを配合したもの)、スターターガイドが届きます。
バッグに野菜くずやコーヒーかす、卵の殻などを投入して混ぜると、微生物の働きによって分解が進み、最後は堆肥になっていきます。
堆肥になったものはご自宅のプランター菜園や観葉植物など、土づくりにご活用することができます。

――コンポストを始めたくても、「場所が無い」「むずかしそう」と構えてしまいますが、このサイズで混ぜるだけというのは始めやすそうです。また、室内にも置きやすいバッグ型なのも安心ですね。
中野さん:サービスを作り上げる中で、生活に馴染みやすくする点は欠かせないと思いました。
その場でパッと買うよりも、使い方について調べてみたり、家族に相談したり、口コミを見たりと、コンポストのある暮らしをじっくりと想像してから始める方が多いと思います。
ただでさえ分からないことが多く、ドキドキしながら始められる方もいるのではないかと思い、使いやすさやいつでも分からないことを聞ける安心感にこだわっています。
――おっしゃる通り、始める前の疑問や不安をいかに解消するかが大切ですね。続いて「堆肥回収」について、教えていただけますか。
中野さん:堆肥回収はecotasコンポストの目玉です。
作った堆肥はもちろんご自宅でご利用になってもよいのですが、余った場合に返すことができる仕組みで、定期便の2回目または専用基材をご購入の際には、無料オプションとして回収サービスをお付けしています。
ご家庭から返送いただいた堆肥は、東京都三鷹市の有機農家・鴨志田農園へお届けし、農園で二次処理を行った後、畑の土づくりに生かされています。
回収にあたっては、専用の返送用袋に入れてから段ボールに入れて宅配業者に手渡すだけと、ユーザーの方の負担を極力減らしました。
――玄関先まで回収に来てもらえるのはありがたいですね。コンポストを続けるハードルがさらに下がりそうです。
大学時代の原体験から、日常の循環へ

――堆肥回収までしてくれるコンポストは、これまでにありそうでなかった取り組みですね。どのような経緯でecotasコンポストを始めようと思ったのでしょうか。
中野さん:大学では農業経済を専攻し、「食」や「暮らし」と社会のつながりについて学んでいました。なかでも強く印象に残っているのが、アニマルウェルフェアの授業です。
動物の命が食べ物になる過程を映像で見たとき、普段の買い物で目にしている情報はほんの一部にすぎないのだと、大きな衝撃を受けました。その経験から、「一人ひとりが、より良い選択をできる社会にしたい」と考えるようになりました。
大学卒業後は会社員として働いていましたが、子どもが生まれたことをきっかけに自分の時間の使い方を見つめ直し、「社会にとって意味のあることに時間を使いたい」「子どもに胸を張れる仕事をしたい」と思い、会社を立ち上げました。
――そこから、どのようにコンポストへつながったのでしょうか。
中野さん:メンバーからコンポストの話を聞いたことがきっかけです。調べていくうちに、都市での暮らしでは本来土に還るべき生ごみが、当たり前のように「ごみ」として処理されていることに違和感を持ちました。
それなら、無理なく続けられる形で、生ごみを地域の中で循環させる仕組みをつくれないだろうか。そう考えて生まれたのが、ecotasコンポストです。
――生ごみの問題は、家庭だけでなく、社会全体にも関わることなのですね。
中野さん:そうですね。家庭から出る生ごみの多くは水分を含んだまま可燃ごみとして出され、焼却されます。都市の衛生を守るために焼却は欠かせない仕組みですが、水分の多いごみを燃やすにはエネルギーが必要です。収集・焼却・処理を担う自治体の施設にとっても、日々積み重なる負担になります。
また、生ごみは本来、土に還り、野菜を育てる栄養にもなり得るものです。「捨てるもの」として処理するだけでなく、資源として次の営みにつなげる選択肢を増やしたいと考えています。
コンポストは社会課題を一度に解決するものではありませんが、毎日の生ごみを通じて、暮らしと地域の循環を実感できる身近な第一歩になると思います。
――実際に使われた方からは、どんなお声がありましたか。
中野さん:「堆肥を回収してくれるのがスタートする決め手になりました」とか「生ごみを出さずに済んでストレスフリーです」といったお声をいただきました。
「ユーザーサポートが良かった」という嬉しいお声もありました。今後も使い方や回収方法に関する情報など、ユーザーの皆さんが知りたいと思う情報を提供していきます。
循環する社会づくりの第一歩に

――回収された堆肥について教えてください。
中野さん:現在、回収した堆肥は、東京都三鷹市で6代続く有機農家・鴨志田農園さんにお届けしています。
鴨志田農園さんでは、回収した堆肥を二次処理し、完熟堆肥として畑の土づくりに活用されています。家庭から出た生ごみが、地域の畑で野菜を育てる栄養へと生まれ変わる。その循環を形にできることが、ecotasコンポストの大切な価値だと考えています。
――夢は広がりますね。都市部に住んでいると、食べ物がどこからやってきて、どこへいくのかが見えづらく「循環」を感じることもあまり多くありません。でも「ecotasコンポスト」を使うと、その「循環」の一部になることができますね。
中野さん:はい。ecotasコンポストでは、自宅で生ごみを堆肥にして、家庭菜園やベランダで植物を育てる「自宅の循環」と、使い切れない堆肥を回収し、提携農家で新しい作物を育てる「社会の循環」の両方を大切にしています。
また、コンポストならいろいろなものを分解できるので、台所用品などについてもエシカルな製品を提案できるようにしたいなど構想はたくさんあります。
エシカルな暮らしというと、海外のトレンドを輸入しているように聞こえてしまいますが、日本の古き良き暮らしは世界にも誇れるくらい立派な「エシカル」だと感じています。
将来的には、こうした日本らしい循環する暮らしを「エシカル」の文脈で再定義して、世界中に知ってもらうきっかけを作れればいいなと考えています。「ecotasコンポスト」を通して、「循環」する豊かな暮らしを広げていければと思います。







